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複数審判制におけるフォーメーションの形成とコミュニケーション(8) 甲斐 雄之 |
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四人制審判 四人制審判を担当する時は、フォーメーションメカニックの行動原理をクルー全員が綿密に認識してグランドへ立ち、的確な行動意思の伝達と行動の一体化を図り、スムーズにフォーメーションの形成を行い、的確な判定行動を行うように努めることが大切であります。 フォーメーション形成の基幹であるコミュニケーション(行動意思の伝達)の手法については二人制審判において具体的に述べており、本項においても共通原理でありますので、行動の起点において必ず励行して行動意思の一体化を図ってください。
★フォーメーションの形成について述べる前に、塁審が外野への打球を追う場合について再確認をさせていただきます。打球を追うか、追わないかがフォーメーション形成のキーポイントになるからであります。 1、外野手が後方へ激しく打球を追い、移動する場合。 四人制審判で塁審が外野への打球を追えば、その塁審はこれの判定に専念はして、プレーが一段落するまで戻りません。フォーメーションの形成は三人制に切り替えます。 ★フォーメーションの形成について、より良く理解するためには、ここで述べる審判員の配置ポジション、打球判定の責任範囲及び審判員の行動状況をフォーメーション形成図として記載して、説例を検証していただければ、より理解し易いと思います。 フォーメーションの形成において、ローテーション方式とスライド方式をとる場合の共通基本認識と、これの選択をする場合のコミュニケーションについては三人制審判の項において述べましたので参照してください。このことについては、クルーの共通認識が必須要件であります。 ★グランドへ立つまえに、方式適用の共通認識と選択についての手法を綿密に打ち合わせ、行動については常にコミュニケーション(主にシグナルを用います)を行い、クルーの行動認識の一致を計ることが大切であります。 ★二人制及び三人制のフォーメーション形成については、打球の状況及び走者の存在状況に基づいて展開するプレーに対応する行動の基本原理について述べました。四人制審判のフォーメーション形成については、基本的事例を設定して、実戦の面からフォーメーションの形成について述べます。
★説例においてのべる、プレーの判定行動における行動エリア、プレーに備えるために待機したり、ステイするためのポジション取りについて述べておきます。 ▲ワーキングエリア 一つの塁を意識するのでは無く、複数の塁を意識にいれ、走者の動きとボールの行方でプレーの発生を認識して、ワーキングエリア内でプレーの方向へステップして判定行動を行います。 ▲ピボットエリア 打者走者がベースへ近づき、触塁するのに合わせて、ピボットして体の向きをベースラインと平行にして触塁を見て、打者走者より先の位置で二塁への移動ができる行動手法であります。ピボットするエリアは一塁カットエリアのカットアウト(ベースから13フィート先)から2〜3歩二塁寄りが目標となります。 ▲カットエリア付近 ▲球審が本塁のプレーに備えるポジショニングと三塁のプレーに備える行動 球審が本塁のプレーに備えるポジショニングには二通りの方法を用いることが認められています。 最初にプレーに対応するスタートポジションは『ファーストベースラインエックステンデイッド(本塁の一塁側ファウルラインの延長線上ファウルエリア)と本塁の基点の真後ろの間のどこからか』であります。 そして、そこから本塁への送球方向やプレーの緊迫度によって、プレーをしっかり見極め得るアングルを確保するために、左《例えば、ファーストベースラインエックステンデイッド》又は右《例えば、サードベースラインエックステンデイッド(本塁の三塁側ファウルラインの延長線上ファウルエリア)》へ回り込んで判定を行います。 基本はファーストベースラインエックステンデイッドであります。次に三塁のプレーに備える行動では、三塁塁審が外野への打球を追った場合のローテーション方式及び二塁走者がタッグアップをして球審が三塁へ行く場合(走者一塁・三塁で三塁塁審が外野へ打球を追い、二塁走者がタッグアップした場合)があります。 球審は打球に対する野手の守備と三塁塁審の対応を見て、三塁側ファウルラインの外側(3〜6フィート)を三塁へ向かい、ハーフウェイまでは進み、待機して、三塁のプレーに備えて対応行動を取ると判断したら、三塁手前20〜15フィートの地点でファウルラインを超えてラインの内側へ入り、カットエリア付近で三塁のプレーに備えます。 ▲プレーを判定するための対処行動において避けなければならない行動 ★今回は四人制審判について述べるにあたって、ガイダンスとなりました。述べた内容は本題で述べる事を理解するうえで極めて基本的かつ重要な事でありますので常に念頭に置いてください。次回からは四人制審判のフォーメーション形成について本題に入ります。 (2012年6月1日) |