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放棄試合の記録 日本における放棄試合の記録は、プロ野球ではグラウンド上においてのトラブルが原因となったものは、5試合が記録として残っています。(没収試合は2試合)社会人野球と大学野球では、グラウンド上でのトラブルが原因での放棄試合はなく、選手の登録ミスなどのよる没収試合として社会人野球で3試合、大学野球で数試合が記録として残っています。 昭和22年6月6日(1947年)阪急ブレーブス対南海ホークス(後楽園球場)球場周辺が青天だったにも拘わらず、阪急ブレーブスの宿舎付近が雨天だったため、試合は中止になると思い込み、選手が球場に姿を見せなかったために没収試合となった。 昭和25年8月14日(1950年)南海対大映15回戦(県営富山野球場)9回裏、無死二・三塁から大映の打者の打球を、南海の中堅手黒田がワンバウンド捕球したとみなし、審判員は安打と判定した。 昭和29年7月25日(1954年)阪神対中日13回戦(大阪球場・ナイター)延長10回、阪神の真田が2-2後に振った球を捕手河合が直接捕球したか否かで、藤村富美男選手が杉村球審に抗議、その際に審判に暴言を吐いたとして退場を宣告された。 しかし、藤村は退場宣告をよく理解していなかったのか、その裏の打席に立とうとした。藤村の退場について、十分な説明がなされていないとの理由で、観客の阪神のファンが抗議するなどで、収拾がつかなくなったことから、主催者の阪神に責任があるとして、審判団は没収試合により中日の勝利とした。 この件で、セントラルリーグ野球連盟は、試合管理不十分として、タイガースの松木謙治郎監督に出場停止5日間と制裁金3万円、藤村助監督に対しては「騒動の発端を招いた責任は重大」として出場停止20日間と制裁金5万円を科す処分を下した。 昭和42年9月23日(1967年)阪神対大洋24回戦(甲子園球場)1回表の大洋の攻撃、二死満塁で打席に入った9番打者の森中千香良(当日の大洋の先発投手)が2ストライク後の投球を空振り。 その球を阪神捕手の和田徹がショートバウンドで捕球し、三振バッターアウトが成立したと勘違いをして攻守交代と思いこみ、そのボールをマウンド付近へ転がした。それを見た大洋ベンチが打者森中に「降り逃げが成立するから一塁へ走れ」と指示、三塁走者の松原がホームインして大洋に追加点が入った。 この間のプレーについて阪神監督の藤本定義が「打者アウトでスリーアウトチェンジではないか」と大谷審判員に抗議し、その際に胸を突いて退場させられた。その後、阪神が試合の続行を拒否したために、放棄試合が宣告された。 昭和46年7月13日(1971年)阪急ブレーブス対ロッテオリオンズ(西宮球場)7回表のロッテの打者江藤慎一の三振の判定を巡り、三塁コーチの矢頭高雄が抗議し、球審の砂川に暴行を働いたため退場となった。 またロッテベンチも監督の濃人ら首脳陣が抗議を続けたが、受け入れられなかった。その後、ロッテは試合続行を拒否した(オーナーの中村長芳が「こんな審判の下では試合は出来ないから止めよ」と言う鶴の一声などもあり)ため、放棄試合が宣告された。 昭和42年9月23日の阪神対大洋戦の放棄試合を受けて、1968年に放棄・没収試合は厳禁という規定ができたことと、この試合は阪急の主催試合であったため、ロッテ球団はNPBに制裁金200万円、阪急球団に賠償金として約300万円、合計約500万円を支払うことになった。 この責任を取り濃人監督は二軍に降格となり、事態の発端を作った江藤もシーズン終了後に大洋にトレードされた。この試合は、日本のプロ野球における最後の放棄試合(没収試合)となった。 なお、上記6試合以外に、戦後の混乱期における登録ミスなどによる没収試合が4試合記録されている。 また、昭和43年(1968年)に、ウエスタン・リーグの中日ドラゴンズ対西鉄ライオンズ戦で、審判の判定を不服として中日ドラゴンズが試合続行を拒否したものと、昭和55年(1980年)に、阪急ブレーブス対南海ホークス戦で、審判の判定の遅れを不服として南海ホークスが、試合続行を拒否した2試合が放棄試合の記録として残っている。 ≪社会人野球≫ ≪大学野球≫ 同年10月22日に行われた九州大学野球選手権大会(明治神宮野球大会大学の部への出場をかけた試合)予選トーナメント決勝、九州共立大学対日本文理大学戦(日本文理大学の勝利・元プロ野球選手による試合中の指導)、平成19年(2007年)9月15日に行われた千葉県大学野球連盟2部秋季リーグの千葉商科大学対千葉工業大学戦(千葉工業大学の勝利・未登録選手の出場)の5例が記録として残っている。 ≪高校野球≫ 昭和44年(1969年)7月25日・第51回選手権・長野県大会1回戦 結局判定は覆らず再開されたが、今度は丸子実高側が日没再試合狙いの遅延行為に出た。 平成2年(1990年)4月2日・愛知県高校野球春季大会・知多地区2次予選1回戦 常滑北高校対東浦高校戦(東浦高校グラウンド)審判の判定をめぐり、高校野球では前代未聞の放棄試合となった。 ハプニングは4回、1-4とリードされていた常滑北の攻撃中に起こった。 常滑北は、加藤俊彦部長が「死球だ」と抗議したが認められなかったため、選手全員がベンチに集まった後、試合を続行しようとせず自からホームプレート付近に整列した。 |
(2010年3月15日) |