「サタデーリーグ」トップページへ
前ページへ

UDCの回答[投稿から]


臼井へのメール 投稿者:管理者・臼井  投稿日: 8月25日(水)

お忙しいところ恐縮ですが審判の裁定として下記の場合どうするかお教えいただけませんでしょうか?
アマチュア社会人の試合での出来事。守備側ピッチャーは超スローカーブが決め球。攻撃側は初回からこの超スローカーブにてこずり、無得点。攻撃側ベンチからの野次もあり、このバッターのイライラがピークに達し、とうとう自分の顔の前を横切ってくるこの超スローカーブを素手でつかんで「このやろ!」とばかりに、ピッチャーに投げ返してしまった。この場の審判は「守備妨害。バッターアウト!」と宣告し、そのままゲームは終わりました。しかし、ルールブックに無いため、大リーグのサイトなど方々を確認しております。

それは、(A)打者が故意に投球を捕手捕球前につかんだ場合
<1.スポーツマンシップに反するとして退場、2.守備妨害アウト、3.ファールボール> 
(B)打者が無意識につかんだ場合 
(C)打者が避けようとして偶然つかんでしまった場合 
など、審判の判定を整理して教えて欲しいからです。

ちなみに私の判断は、
(A) 悪質なケース : 退場
(B) 故意に・・・・・  : 守備妨害アウト
(C) 不可抗力   : ストライク判定
だと思いますが、いかがでしょうか? 宜しくご教授の程お願い申し上げます。



臼井へのメール 投稿者:A審判員?臼井  投稿日: 8月26日(木)

私がその場面に直面した際、
  OP戦なら、「1回注意投球ノーカウント、次回からは守備妨害で打者アウト」
  公式戦なら「即守備妨害で、打者アウト」

(A) 悪質なケース : 厳重注意し(勿論打者アウト)、以降再度の場合退場
(B) 故意に・・・・・  : 守備妨害アウト
(C) 不可抗力    : ストライク判定
ABCのどの状況か審判員が瞬時に判断するのですが、
その処置も常識ある判断でよろしいかと、考えます。

追伸・ルールブックに記載されていない場面が多くあると思いますが、 その際は、常識での判定処置し、複数審判の場合は、協議し結論を出せば良いのではないでしょうか。



臼井へのメール・A審判員様 投稿者:管理者・臼井  投稿日: 8月26日(木)

A審判員様
適確なアドバイス有難うございます。正直これまで2ヶ月間、悩みました。臼井様にメールで相談し、私なりにも調査しました。A審判員様のアドバイスを加味して、私が今、考えている判定は、
1〕掴んだ後、暴言をはいたり、投げ返すなど、悪質なバッターには、 
「タイム」9.02(c)「累審を集め」「守備妨害バッターアウト&バッター退場」を宣告。

2〕故意に掴んだ場合、
 「タイム」「守備妨害バッターアウト」&「注意」(2度目で「退場」)

3〕打者が避けようとして客観的に見て不可抗力で偶然つかんでしまった場合
 「(投球判定)ストライクorボール」⇒「タイム:ボールデッド」

とコールし、判定したいと考えますが、ご意見いただけますと幸いです



臼井へのメール 投稿者:A審判員?臼井  投稿日: 8月30日(月)

私の考えですが、審判員には、客観的にも納得する裁定が求められています。投球が不正ではないのであれば、打者はそれを打つことが責任です。自分が打てない責任転嫁で、この行為にいたったならば、そのペナルティは当然ですね。

1、各連盟での決め事にされると良いとおもいます。前例のない場合、現場の審判員の裁定に任されます。事後、連盟内で協議し今後の裁定を決定し、連盟関係者ならびに各チームに伝達の手順をされたらいかがでしょう。

2、連盟に縛られずに自己での裁定をする場合ですが、現在、日本アマチュア野球界では、退場のペナルティを避ける傾向です。また単に、草野球的試合での適用でも、私は「退場」をお勧め出来ません。理由は「シコリ」が皆に残り、気持ち良い試合とならないからです。それでも退場させる時の基準を私は、「審判員への不信で試合続行が不可能の時」としています。

蛇足です。ちなみに、走者に盗塁行為があった場合に「打者が投球をつかんでしまった!」この裁定はどうでしょうか?さらに無死または1死での本盗では??類似プレイの裁定があります?打者が本塁における守備側のプレイを妨げた場合で、7・08(g)項の適用です。ただし、日本では3塁走者をアウトにしますが,アメリカでは、やはり打者アウトとして送球時(投球ではありません)の塁に走者を戻すようです。(特にスクイズプレイ時、反則打球の裁定など)私も打者をアウトにして走者を投球時に戻すようにします。



臼井へのメール・A審判員様へ 投稿者:管理者-臼井  投稿日: 8月31日(火)

A審判員様 大変参考になりました。有難うございます。
審判はとっさに判断する必要があるわけですが、退場させるかどうかはむしろ簡単ですね。著しく試合の成立を妨害するか、あまりにもモラルが低く、しかし、バッターアウトとか、カウントをとるとか、ランナーがいるケースでの販促打撃の裁定など、果たして、とっさにジャッジできるか?という自分自身への問いかけが今回一番重要でした。皆様のご意見を活かして、更に精進したいと考えております。ご指導有難うございました。

今回のやり取りは「掲示板」を使わず行われました。文章の内容も特定の「連盟・お名前」などはご迷惑がかかると思い削除いたしました。中味の「濃い」内容だと思います。(管理者・臼井淳一)



さらに深めます(1) 投稿者:臼井淳一  投稿日: 9月 3日(金)08時29分54秒

私はUmpire Development Corpの正会員です。会員の特典を利用いたしまして。

下記のようなメールをいただきました。私も勉強したいのでよろしく回答のほどをお願いします。 会員番号 1023 臼井淳一

お忙しいところ恐縮ですが審判の裁定として下記の場合どうするかお教えいただけませんでしょうか。

アマチュア社会人の試合での出来事。守備側ピッチャーは超スローカーブが決め球。 攻撃側は初回からこの超スローカーブにてこずり、無得点。攻撃側ベンチからの野次 もあり、このバッター、イライラがピークに達し、とうとう自分の顔の前を横切ってくるこの 超スローカーブを素手でつかんで「このやろ!」とばかりに、ピッチャーに投げしてしまった。この場の審判は「守備妨害。バッターアウト!」と宣告し、そのままゲームは終わりました。しかし、ルールブックに無いため、大リーグのサイトなど方々を確認しております。それは、
(A)打者が故意に投球を捕手捕球前につかんだ場合
1.スポーツマンシップに反するとして退場、2.守備妨害アウト、3.ファー ボール 
(B)打者が無意識につかんだ場合 
(C)打者が避けようとして偶然つかんでしまった場合。 など、審判の判定を整理して教えて欲しいからです。

ちなみに私の判断は、
(A) 悪質なケース : 退場
(B) 故意に・・・・・  : 守備妨害アウト
(C) 不可抗力   : ストライク判定
だと思いますが、いかがでしょうか? 宜しくご教授の程お願い申し上げます。



さらに深めます(2) 投稿者:臼井淳一  投稿日: 9月 3日(金)

UMPIRE DEVELOPMENT CORPORATION よりの回答

回答が大変遅れて申し訳ありませんでした。さて、質問のケースにお答えいたします。

インストラクター同士で話し合いましたが、まず、打者がボールをつかんだ時点でルールにより審判はタイムをかけボールデッドとして下さい。もし走者が盗塁していてもタイムを掛けないと進んでしまいます。それを防ぐ意味でもこれは重要な仕事です。

その後の処置ですが、おっしゃるとおりルールには規定されていません。よって当該審判の判断によります。
我々が考えたのは
1:ボールもしくはストライク(ボールの軌道による)をコールする。
  ※全てストライクをコールする必要はありません。
2:守備妨害により(捕手の投球を捕球する動作を妨害したことによる)打者アウト
3:打者を退場にする(投球にはボールもしくはストライクをカウント)
4:打者に守備妨害によりアウトを宣告し退場を宣告する
の中のどれかの措置かと選択肢としてはなるかと思います。

インストラクターの殆どは1の回答を選んでいます。
理由は確かに打者の行動はスポーツマンシップに反するが、打者がボールをつかむことで守備側の守備を妨害し、守備側に不利益をどれだけ与えるかを考えれば打者アウトまでの罰則は厳しい、からです。これは感覚として分かって頂きたいのですが、ルールは一般良識とフェアプレーの精神から成り立っていますが、基本的に審判は選手同士の喧嘩などには審判からタッチすることは殆どしません。
あくまで審判は「ルールの番人」であり、マナー向上委員ではありません。ただ、モルールを犯すモ選手やプレイを厳しく取り締まることでフェアな野球の環境を維持する役割はありますが、それ以上は審判の仕事とは違う領域になります。

同じ打者が何回もこの行動を繰りかえせば退場を宣告する場面となりうると思いますが、それ以外は上記判断をするのがよいのでは、とインストラクターは考えました。

いかがでしょうか?ご参考になればと思います。
http://www.umpire-dc.org/



さらに深めます(3) 投稿者:臼井淳一  投稿日: 9月 3日(金)08時22分31秒

会員番号 1023 臼井淳一 回答ありがとうございます。
掲示板の結論とUDCの回答が少し違っております。私は改めてUDCの回答を読ませていただき、「納得」と同時に審判員のあり方を考えさせられました。特に下記の部分には軽いショックを受けました。

『基本的に審判は選手同士の喧嘩などには審判からタッチすることは殆どしません。 あくまで審判は「ルールの番人」であり、マナー向上委員ではありません。ただ、 モルールを犯すモ選手やプレイを厳しく 取り締まることでフェアな野球の環境を維持する役割はありますが、それ以上は 審判の仕事とは違う領域になります』

回答
→ここにはちょっとした前置きが必要です。
 UDCインストラクターはあくまで米国のメジャーリーグ、マイナーリーグ、そして審判学校で体験&学んだ経験から上記の結論を導いています。ですので、他の環境で審判されている方が違った結論を出されるのは当然ですし、同じである必要はないと思います。

そこで、上記のように書いた背景ですが、メジャーやマイナーでは選手同士のもめごとで選手を一発退場にするケースは選手同士がモ審判が止めたにもかかわらずモ一方の選手に向かい暴行を加えたり、走っていった時です。選手同士が暴言を吐きあっているところに退場はありません。そういったケースは「打席に戻りなさい」や「プレイする位置に戻りなさい」と指示します。それでも、審判の指示に従わなかったときは更に警告を発し、更にそれでもダメであれば退場を命ずる、という順序があります。

 あくまで選手に退場を命ずる場合もルールに従わなければならないと思います。確かに9.01(C) にて審判員のルールにない事象への権限は審判に判断がゆだねられています。が、できるだけルールに従った対処を審判員はするべきだと考えます。
また質問があればお寄せ下さい。お待ちしております。UDC 

Umpire Development Corpの回答は掲示板に転載することに許可をいただきました。多くの方に会員になっていただくことをお薦めいたします。(臼井淳一)
http://www.umpire-dc.org/


「サタデーリーグ」トップページへ
前ページへ