#47 K.O審判員
10.審判講習会という名の場に参加して思うこと。
開幕シーズンに先がけ各地で審判講習会が開催された。
全軟連、高野連、大学連盟そして全日本アマチュアー連盟の内部要綱に則っとり講習会が開催されていると思うがそのメカニクスに若干の差異があるのは否めない。
クーパーズ・タウンの野球殿堂のすぐ近くにある、野球発祥の地Doubleday Field.
Doubleday Field Cooperstown, NY. 2007年9月18日撮影。
が、しかし、各団体で野球の技術や審判のスキルに合わせメカニクスがいろいろと工夫されているようだ。特に小さな子供たちの間に身体の大きな大人の審判が入る学童審判ではさまざまな工夫がなされているようである。
一方、メカニクスやフォーメーションを間違ったとき、判定をミスしたとき等はここぞと云わんばかりに指導層から叱責され、詰問されている光景をよく見かける(ミスは本人が一番わかっているだが・・・)
その際はミスを問い質すよりも、ミスをカバーできなかった他のクルーに反省を促すことの方が大事であると感じるのは小生一人であろうか・・・?
また、審判のフォーメーションが重視される余り、スキルをアップするための手立てが十分でないことも懸念される。
講習会では審判としての課題や研鑽事項など、スキルを挙げるために団体毎の重点項目があってしかるべきだと思うのだが(あるとは思うが)・・・。
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オリオールズの本境地、カムデン・ヤーズから五分
足らずの距離にある二階建ての「ベーブ・ルース博
物館」本名George Herman Ruth。
ルースの遺品や部屋の様子が当時のまま残されて
いる。
博物館への途中には道標が施されているので迷いなく行ける。
Before a game of Orioles VS Blue Jays at Oriole Park at Camden Yards、Boltimore.
2005年9月6日撮影 |
There is「Babe Ruth Museum」in Baltimore City.
審判員個々のスキルアップを図るにはフォーメーションも大事だが、グラウンド上でクルー同士の会話をすることが重要だと考える。
それは、何も声を出して話すのではなく、シグナルやアイコンタクトを通じてお互いの責任分担を確認し、メカニクスを明確にすることである。
それにより、メカニクスが円滑に進行し、コールにも余裕ができると思うのだが・・・。
例えば、外野の打球判定に行くとき一寸手を挙げるとか、手首を握って(ゴーズ・アウトしない)打球判定は任せたといった具合だ。
その際には、アイコンタクトで合図してもよい。
そのほかには、内野内に位置した審判が状況に応じてローテーションやスライドのシグナルを出せば、メカニクスが明確になるだろう。
アウトカウントを明示したり、タイム・プレーのサイン等を事前に決めて置くことも肝要だ。
インフィールドフライが適用される場面でのシグナリングは完璧といってよい程に出来るのだから、必ずや体得できると信じる。(インフィールドフライをコールする時は、各審が必ず復唱(エコー)しよう)
とにもかくにも、試合中に審判同士が眼を合わせ、状況に応じたシグナルを出すことによりアンパイアリング・スキルも格段に上がるだろう。
CooperstownにあるBaseball Hall of Fame(野球殿堂)の内部。両側にHOFのレリーフが並んでいる。Baseball
Hall of Fame at Cooperstown, NY. 2007年9月18日撮影
そもそも審判講習会とはミスを叱責し、追及する場では決してない。
規則適用方をお互いに共有し、判定の責任分担を明確にしてクルーとしてのメカニクスを円滑に行うことを目的としているのではないだろうか・・・?
講習会の持つ意義を原点に戻り、もう一度再考してみる必要があるようだ。
また、「球審が一番偉いんだ」、「球審が一番上手いんだ」と誤解している審判が多くいるのも事実である。
クルー四氏は平等であり、規則に則って試合の円滑な進行を図り、試合を何事もなく、無事に終了させる義務があることをもう一度肝に命じておこう。
今年はリミングが重点課題でしょうか・・・。
それよりも今年度改正された内野内の打球判定(Catch./No Catch)では余程事前協議をしておかないと野球拳(ジャンケンポン)の危険性がある。
球審の顔の位置に注目。この位置は捕球面をしっかり見ることが出来る最良の高さである。打者:Albert Pojols
捕手:Jason LaRue 球審:Ted Barrett
Reds VS Cardinals at Great American Ballpark, Cincinnati.
2004年8月25日撮影
我が国のアマチュアーでは提訴試合はないけれど、その原因の多くは規則適用の誤りといわれている。
ゆえに審判員は規則に精通し、さまざまなプレーを研鑽し、思いもかけないプレーが起きても驚かないで、冷静に対処できるよう常に自らのスキルを挙げて行きたいものだ。
メジャーで20余年間も活躍した#3、Jim Evans氏はいつも言っている。
平成22年2月28日(日)Jim Evans Umpire Clinic in Tokyo, Japan.
左;ジム・エヴァンス氏(元メジャーリーグ審判員)右;平林岳氏(UDC代表、3A審判員)写真:UDCより/UDC広報部撮影
- 判定の際は「距離よりも角度が大事」である。
- そして「審判にとって最大の敵は驚くこと」であると・・・。
この言葉を聞くたびに、そして思い出す度に初心に戻り、決意を新たにする・・・。
11.国際基準のコールの推奨
米語(英語)でコールすることがすべてではないが、研鑽してみよう。
Yes, we can call in English.
T:アウトの宣告 「He is out.」
(1)タグによるアウト 「On the tag. He is out.」
(2)フライによるアウト 「That’s a catch.」
(3)ラインアウトによる宣告 「Out of baseline.
He is out.」
このコールは「Line Out」の方が良いとJim Evans氏は言っていた。
U:セーフの宣告 「Safe.」
(1)野手の足がベースか離れた 「Safe.
Off the bag.」
(2)野手がボールを落とした 「Safe.
Drop the ball.」
(3)野手が“お手玉”をした時 「Safe.
Juggle (or Babble)the ball.」
(4)走者がタグをかいくぐった時 「Safe.
No tag safe.」
V:ハーフスイングの宣告
(1)球審がノースイングを宣告する時 「Ball. No he didn’t go.」
(2)球審がハーフスイングをリクエストした時 「Did he
go?」
(3)打者がスイングしていたら 「Yes, he did.」or「Yes,
he went.」
それを受け、球審はカウントを表示する 「That’s a Strike. Strike…,
Ball….」
(4)打者がノースイングなら 「No, he didn’t
go.」
(5)球審が自らスイングを宣告する時 「Yes, he did.」or 「Yes, he went.」
W:ボークの宣告 「That’s
a Balk.」
X:妨害(打撃、守備、審判)の宣告 「That’s a Interference.」
Y:走塁妨害の宣告 「That’s a Obstruction.」
Z:成り行き(出会い頭のプレー)の宣告「That’s nothing.」
[:インフィールドフライの宣告 「Infield fly. Batter is out.」
(1)フライがフェアー・ファウルの判定を必要な時 「Infield fly. Batter is out if fair.」
(2)インフィールドフライを落球した時「He
is out. He is out. He is still out.」
\:タイム・プレーの宣告(球審)
(1)第三アウトより走者の本塁触塁が早かった時
「That’s run score. That’s run score.
Score that’s run.」
(2)第三アウトより走者の本塁触塁が遅かった時
「No run score. No
run score.」
\:タイム・プレーの宣告(球審)
(1)第三アウトより走者の本塁触塁が早かった時
「That’s run score. That’s run score.
Score that’s run.」
(2)第三アウトより走者の本塁触塁が遅かった時
「No run score. No
run score.」
]:送球がボール・デッドエリアに入った時「Time. You…Base.」
例:走者一塁で次塁へ進める時 「Time. You second base.」
11:故意落球の宣告 「That’s Intentional drop. He is
out.」
12:追い越しアウトの宣告 「Passing the runner. He is out.」
13:捕球後、次動作に入って落球した時「He is out. He is pulling it’s out.」
14:打球を追う場合の掛け声 「I’m going out.」or「Going out.」
試合に先がけCal Ripken Jr.の「2632試合連続出場記録」を祝うセレモニーが行われた。
リプケン一家が集い、ファンから拍手喝采を受け、挨拶するリプケンJr. 2005年9月6日撮影 Before a game
of Orioles VS Blue Jays at Oriole Park at Camden Yards、Boltimore.
ますます国際化が進みメカニクスと同様にコールも野球語(米語)に変ると予感する。その近未来のために、出来るところから研鑽してみては如何・・・?
昨今、審判の責任分担(Umpire Responsibilities)の再確認が盛んに叫ばれている。この責任分担を明確に理解できている審判員は決して多くはない。
また、「Pause」、「Read」、「React」の意味合いも理解出来ているとは言い難い。
もう一度、初心に帰りクルーの責任分担を再検証し、アンパイアリングの基本となる「Pause」、「Read」、「React」の基本動作を研鑽する必要がある。
Angle is more important than the distance.
(判定の際は、距離より角度が重要である)
Umpires are the low on the diamond and their decisions
are final.
(審判員はグラウンド上の法律者で、その裁定は最終的なものである)
この言葉を胸に刻み、最新アンパイアー・メカニクスの最終回とする。
最後に、4月1日に行われたスプリング・トレーニングのロッキーズ対カブス戦で平林岳氏が日本人として初めてメジャーのグラウンドに立った。オープン戦とはいえ日本人アンパイアーとしての一大快挙である。
この試合は三人制で行われ、三塁塁審として望んだ平林氏の初ジャッジはライト福留選手(カブス)からの送球で打者走者を二塁で「He’s
out!」とした。
http://www.mlb.com/video/play.jsp?content_id=7246011(Fukudome’s
strong throwから閲覧可能)
http://ka101w.kaw101.mail.live.com/default.aspx?wa=wsignin1.0(Box
scoreに3B平林の名前記載)
2010年3月21日、エンゼルス対マリナーズのSPRING TRAININGで7回裏から一人制審判となった。この試合は三人制で始まったが、球審と三塁塁審が相次いで負傷退場。
一塁塁審のTim McLellandが一人審判で試合を終了させた。
一人制では投手の後ろに位置して投球を判定し、プレーをコールするのが通常である。
写真:UDCより/UDCアメリカ野球審判視察団撮影
野球はプレーするのも、観るのもそして裁くのも良し。
Play baseball. Take me out to the ballgame. Play-ball!
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