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UDC Special Clinicに参加して


MBUA#47審判員  


 去る2月26日(土)、27日(日)の二日間にわたりUDC Special Clinicが開催された。当MBUAからは10名が参加してモチベーションやスキルのアップを図った。


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【UDC Special Clinicに参加したMBUA審判員。
平林PCL審判員と井上インストラクターを囲んでの記念撮影】

 

 毎年来日していたJIM EVANS校長は事情により今回は参加されなかったが、平林氏を始めUDCインストラクター陣の努力で中身の濃いクリニックになった。

 クリニック一日目は神宮室内競技場でメジャー3Dマトリックス・ストレッチングから始まり、Go Stop Call、インタフェアーランス、オブストラクション、ランダン・プレー等の解り易い説明があった。その後、実戦さながらのドリルがあり審判個々のスキルも多いにアップしたようだ。
 
 走者が打球に当たってもアウトにならない、走者が野手と接触してもアウトにならないケース、本塁周辺での捕手と打者走者との接触時の判定の見極め方、打者のバックスイング(打撃の余勢)など等非常に興味ある内容が多かった。

 午後からはインストラクターに依る二人制、四人制のデモンストレーションや受講者を交えたキャンプ・ゲームでのステップ方、ボールに正対しながらワーキングエリア内での移動方、ランダン・プレー、インターフェアーとオブストラクションそしてラインアウト等のメカニックを研修した。

 このキャンプ・ゲームでのインストラクターに依るデモンストレーションは多いに参考になった。

 二人制で重要なことは打球や走者の責任分担を熟知し、クルーとCall & Response(声掛け応答)することである。走者の位置や打球の方向そして走者の進塁状況により自分の判定責任を声にしてパートナー(PLまたはBU)に伝えることの重要さを学んだ。


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【走者の一塁触塁をしっかり確認し二塁へリミングする平林審判員。
Syracuse, NY.】

 

 例:一塁走者が三塁から本塁へ進塁時には
 @「I've got third if he comes.」・・・PLは「三塁OK」とBUに伝え、三塁へ駆け上がる。
 A「Yoshi(BUの名前), I'm home .I'm home.」・・・PLは一端「I've got third. I've got third if he comes.」と声を掛け三塁方向へ上がって行くが走者の本塁突入を見越し、本塁へ戻るために「Yoshi, I'm home. I'm home.」(ヨシ、本塁へ戻るぞ。本塁カバーするぞ)とBUに伝え、本塁に戻りのプレーに備える。このシチュエーションのCallは非常に重要で、体得必須である。また、三塁触塁確認はPLの責任ですヨ。

 その他の掛け声としてはB「I'm going out(打球を追うぞ)」、C「I've got third if he tag.(二塁走者がタグアップしたら三塁OK)」C「I'm on the line(ライン上の飛球判定は任せろ)」等とお互いに声を出し合いメカニクスを円滑にする。

 この「Call & Response(声掛け応答)」はスキルを向上させる最初の道標であり、その重要さを理解し実践できれば審判員として半人前になった証かもしれない・・・。しかし、現在の日本では審判中に互いに「声掛け応答」する行為が皆無と言っても決して過言ではない。それに、このスキルは実戦のなかで研鑽しないと中々身に付かないものでもある。

 さらに、四人制メカニクスも披露されたが、我われが実際に行っているメカニクスと違う面が多々あり興味深かった。特にボール、走者、ベースに一直線で正対するという事やWプレー時にはピヴォットマンの捕球面を確認するためにWorking Areaをドリフトする事など参考になった。これは一塁ホースや三塁ホースの時にも応用できるが、高度な野球技術の試合に限定されよう。

 サァ〜、機会があれば二人制、三人制、そして四人制に関らず積極的に実践してみよう。

 そして、審判スキルに不可欠な「Angle & Distance」、「Watch the ball Glance at the runners」、「Step up turn face the ball」、「Drop Step」、「Drift」、「Rimming」、「Working Area」、「Imaginary Box」、「Library」、「3 Feet Line & 45 Feet」等という言葉の意味合いも理解し、実践していこう。

 また、それ以上に規則に精通することが大事であるし、その規則を適用する上で、実戦での対応やより多くの経験が必要である。Jimがいつも言っている「審判にとって最大の敵は驚くことである」は、審判員にとって非常に意味深い言葉である。この言葉を何時も忘れずに精進したい。

 二日目は会場をスタジアムプレイス青山に移し、審判向け英語講座の試験があり全問正解者六名には景品が配られた。そのうち当協会からは二名の正解者が出た。この講座を担当したのは元当協会メンバーの一木インストラクターであったのも何かの縁で、意味深いことであった。

 今年、一木インストラクターはフロリダを中心とするルーキー・リーグのガルフ・コーストリーグに所属。メジャー審判目指してその一歩を踏み出すことになった。27歳の若者よガンバレ!

 二日目で一番興味があったのは「映像でみるメジャー審判の判定」はもちろんであったが、堀口インストラクターによる「2011年規則改正の説明と解釈、歴史的変遷」が説明されたことである。

 規則改正説明で歴史的変遷や経緯が説明されたのはNPBの説明会でもなかったことで、始めての経験であった。
「時代の流れの中でより良い規則運用となるように苦労された先人たちの尽力は敬意に値する」と語った堀口インストラクターの言葉には思わず感動した。
 先人たちの苦労があり、今が在ることを忘れまい・・・。規則の変更経緯と歴史的変遷をもっと聞きたかったなァ。残念だが、次回に期待しよう・・・。


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【渡米の抱負を語る平林岳3A審判員#37】


 今回の規則改正では「飛球を正規に捕球後、野手がボールデッド・ゾーンに入ってしまったら、倒れこまない限り インプレーである」と云うことを一番に理解しておこう。

 野球規則書は守備優先の大原則で構成されており、マナーが重視されている。ドリルの中でも反則プレーや状況、その規則解釈とメカニックが盛んにクリニックされた。それに審判員の「英語講座」や「ルールテスト」もあり、眉間にしわ寄せ頭を多いに悩ませた。

 例えば「Bench Clear」ってどういう意味・・・?ベンチがクリアーになる(綺麗になる、空になる)転じて「乱闘」、「Hit the showers」はシャワーを浴びに行けで「退場」と云う意味。また、今回の英語講座にはなかったが「Can of corn」って何?とうもろこしの缶詰??

 いいや「ポップフライ」という野球語で簡単に捕れることから「楽勝」と云う意味にも使われる、いわゆる俗語なのです。その意味合いを聞けば大体理解できそうですネ。


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【クリニック参加者に御礼を述べ、今季の抱負を語る
UDC平林岳代表とインストラクター陣】

 

 次にルールでは以下のような問題が出題されました。

 例題1;走者一塁で1‐1とき、投手はノンストップのボークで投球。この投球がワイルドピッチになり、一塁走者は一気に三塁へ向かい捕手からの送球でアウト。
 A:ボークでの走塁なのでアウトにはならない。走者を二塁へ進塁させ、1‐1から試合再開。
 B:インプレーで三塁でのアウトは成立。1‐1で試合開始。

 例題2;1死走者2塁。打者の三遊間ゴロを三塁手が捕りに行ったが股間を通過。その直後にすぐ後ろを通過しようとした2塁走者に当たった。二塁走者の後ろにはショートが待ち構えおり、アンパイアーの判断ではショートが捕球すれば打者走者をアウトに出来た位置であった。

 A:二塁走者は守備妨害(インターフェアランス)でアウト。
 B:打球はショートを通過しているので、守備妨害にはならない。"成り行き"である。

◎解答:例題1は「B」。規則適用8.05【付記1】、【注2】、
◎例題2は「A」。規則適用7.08(b)、【注2】

 以上、UDCスペシャル・クリニックの内容と感想を述べてみました。読了感謝。


(2011年3月15日)


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