#47 Ump.
6月14日早朝、ダラス/フォートワース空港発ミネアポリス行きのAA1038便に搭乗すべく空港までホテルのシャトルバスを頼んでいたが、約束時間を間違え急遽ハイヤーを呼んでもらう。
車はキャデラックで冷房がガンガン。さすがに一般のタクシーとは違って、シートも大きくスペースに余裕がある。運転するのはWilliamsという黒人ドライバー。
スラックスを穿き、白いシャツに黒いネクタイの装い。長身でこれがまた実にかっこう良い。
車中「BaseballとFootballどっち好き?」と聞いてみたら即座に「Football right!Sir.」と答が返ってきた。そうだった、ホテルのシャトルバスのドライバーも「フットボールの方が好きだ」と云っていたっけ・・・。 ダラス・カウボーイのお膝元なんだもの、さもあらん・・・。
そういえば、昨日ダウンタウンへ行った帰りの電車内で16歳の高校生にも同じような質問をしたら「It looks boring」(だって、退屈そうなんだもん)という答えが返ってきたっけ・・・。
そうか・・・。ベースボールは「退屈」か・・・? ふーン、いろんな見方があるもんだ。
途中、ドライバーのウイリアムに「早く走って」とリクエストした甲斐があり約20分でダラス/フォートワース空港へ着いた。料金30ドルの他にチップを10ドル弾んだ。
返ってきた言葉が「Thank you, sir」、「I hope you get on this taxi next time.」と名刺をくれた。
チェックイン後、空港内の売店で飲物と朝食を調達。コーヒーにエッグマフィンのセットで7ドル50セント。安いッ!こういうリーズナブルな食事が実に多いのもアメリカの特徴でもあるまいか・・・。
ダラス/フォートワース空港から2時間ちょっとの飛行で無事ミネアポリス空港に着いた。
空港からダウンタウンのホテル「Double Tree Suite Minneapolis」までタクシーで凡そ20分。
空港に着いた時からちょっと雨降りで肌寒さを感じた。街中の往来者たちは防寒着を着込んでいたっけ・・・。
|
ミネアポリスの宿泊先Double Tree Suite Minneapolisの昼の顔。ニコレット・モールの南の端にあるこのホテルは清潔感満点。リネンサプライが行き届き、室内も実に綺麗。それにも増してフロントが親切だった。そしてチェックインする時に暖かいクッキーのサービスがあったのも印象的。ターゲット・フィールドまでは歩いて15分ほど) |
|
Double Tree Suite Minneapolisの夜景 ナイト・ゲーム観戦後、ヘネピン通りのバーで一杯やり、ホテルへの帰途に写す |
この日のお目当ては「Mall of America」(略してMAOと呼ばれる)にある元Metropolitan Stadiumの本塁ベースと元ツインズのHarmon Clayton Killebrew(ハーモン・キルブルー)が放った本塁打の打球520フィート(158.5m)地点にあった赤い椅子を見るのが主な目的。
早速、身支度を整え「ライト・レール」の駅まで「Nicollet・Mall」を歩いて行くことにした。
その道すがらのニコレット・モールではFarmers Marketが開かれ地場の野菜、果物、植物や民芸品等が廉価で販売されていた。
|
ライト・レールの駅はニコレット・モールの北の端にある。乗車券は併設されている自動販売機で$1.75 |
ライト・レールの乗ること約30分。目指すMOA駅に着いた。
さて、MOAに着いたはいいが、とにかく広すぎてどっちへ行けば良いか皆目検討が付かない。
|
Mall of Americaに併設されているテーマパーク。いろいろなアトラクションや観覧車、メリーゴーランドなどが楽しめる、子供たちには絶好の一大ショッピング・モールである |
行き交う人に尋ねても分かっている人はいない。しかし、さすが施設の清掃担当者に聞くと直ぐ分かってり案内してくれましたネ。感謝、感謝でした。
|
元Metropolitan Stadiumのホームプレート跡。ここからキルブルーは特大の本塁打を放ったんだ。こんな記念物があるなんて地元の人達さえ知らないし、知る人ぞ知るプレートなのである |
この埋め込まれた真鍮製のホームプレートを見ていたら、買い物客が「こんな所で何をしているんだ??」といった表情で行き過ぎて行ったし、一部の人は「何でこんな所にホームプレートがあるの??」
と筆者たちと一緒にのぞきこんで来た。意外と知らないもんだァ・・・とつくづく思う。
|
ハーモン・キルブルーが放った打球はこの赤い椅子に当たった |
|
打球の方向的にはこのアトラクションの後方で、メトロポリタン・スタジアムのレフト後方であろうか・・・? |
今日はナイト・ゲームなのでMOAを早めに出発しようとしたが、折からの雷と大雨で足止めをくらう。しかたなく一階にある本屋「Barnes & Noble」で本の立ち読み(?)そして店内に併設されているカフェでコーヒーを飲んで時間をつぶす。
|
ハーモン・キルブルーの案内板。彼はまたMLBのロゴマークのモデルになった選手とも言われている。赤、白そして紺を配しバットを握っているお馴染みのマークです。彼の付けていた背番号3はチーム初の永久欠番に指定された |
雨も小ぶりになったのでターゲット・フィールドへ・・・。
ライト・レールの車内で「今夜のゲームは大丈夫かな?」と思っているうちに天候がみるみる回復。今日のゲームは大丈夫と確信。何せ今まで雨降りで試合が中止になった経験がまったく無いのだ。
Target Fieldに着いた時には、球場の周りには大勢の人、人、人。
早速チケットを購入しスタジアムの中に入る。
|
Target Fieldの正面。右手の金網にはツインズ歴代の選手の写真が掲示され、チームの歴史を紹介している |
ここは筆者には初めての球場。外野方向にはダウンタウンのビルの夜景が映し出され、球場はすり鉢の様な印象で、さながらボウル・カップのように思えた。
翌15日は快晴。昨日とうって変わって太陽がまぶしく、暑い。
今日は「Nicollet Mall散策」と決め込む。ホテルのある南地区から北方向に進み、主なるショップをウインドゥショッピング。
ニコレット・モールと聞いて大きな店舗ビルがあるのかと思いきや否、ニコレット・モールと言う通り沿いにレストランやデパート、有名ブランドショップやアパレルショップなどが軒を連ねている一大ショッピングストリートなのである。
|
ビジネスマンの姿も観光者も多いニコレット・モールである |
|
ニコレット・モールにはいたる所にオープンカフェがあり、思い思いの時間を楽しんでいる |
先ずは、朝食。と言っても朝寝坊したせいか、ブレーキング・タイムは終わってしまっていた。
ニコレット・モールを進んで行くと「The News Room」と云うスポーツ・バーが目に付いた。
|
店内の様子−2 夜はこのウィンドー越にニコレット・モールを眺めながら飲む酒は最高だろうナ |
朝飯はここにしよう! 早速入店する。店内に入るとマーメイドのお迎え、そして帆船が波間にゆれているかのごとくに置かれている。
コーヒーと「Farmers Scramble」をオーダーした。それにトーストが二枚ついてきた。これで$10チョッとだから安い。ファーマーズ・スクランブルと云うのはジャガイモ、ピーマン、オニオン等を卵でスクランブルした物にハンバーグが付いたいわゆる農夫が食べる料理。これが意外と美味い。
|
Farmers Scramble 美味い!完食したが量は多かった。コーヒーもボウルのような器になみなみと注がれ、飲み放題 |
ニコレット・モールではほとんどの店がセールを開催、夏物衣料等をプライスダウン。
この時期は夏物衣料購買の最適時なのであろうか・・・。
|
ニコレット・モールにはこのようなSky bridgeがあちこちにあり、ビルとビルを結んでいる。その後方にはAT&Tビルのミラーウォールには隣接するフォッシービルが映し出されている |
レストランやスポーツ・バー等の前にはパラソルを供えたオープン・テラスが併設され、通り行く車や人々の様を眺めながらビールやコーヒー、スイーツなどを食しミネアポリスを満喫できる。
さらにニコレット・モールを北上しミシシッピ川の袂まで行ってみた。
|
ダウンタウンの北の端に架かるHennepine Country Minnesota Bridge |
ミネアポリスはNicollet Mallを挟んだHennepin AvenueとS 4th Aveの間がいわゆるダウンタウンで、地理的にも分かりやすい。
|
ニコレット・モールには黄緑色のTシャツを着た「AMBASSADOR」と呼ばれる
人々が交通整理、道路の清掃、観光案内や道案内などさまざまなサービスを提供している。道を聞いたのだが親切丁寧な態度に感心した。もちろん英語で・・・。この写真は黒人のアンバサダーの背中。体格のよい人だった |
S 4th Ave.はビジネス街としての活動を見せ、ニコレット・モールやヘネピン通りには有名ブティック、デパートそしてバー、レストラン等が多く立ち並び、賑わいをみせる。
その一角にあるのが「Foshay Tower」と呼ばれる「Wホテルミネアポリス−ザ・フォッシー」である。
|
Foshay Tower、高さは136m。その上に突き出たアンテナの高さを加えると185mに及ぶ。1978年には国立歴史建造物に指定されたミネアポリス市内の観光名所である。 |
1929年に建設されたこのビルの屋上展望台からはミネアポリス市が一望でき、ミネアポリス市建設の歴史も知ることが出来る。室外に出ると隣接するガラス張りのビルに映し出されたフォッシー・ビルを見ることができるし、眼窩にはニコレット・モールの往来も見ることができる。
|
隣接するAT&Tビルのミラー・ウォールに映し出されたFashay Tower |
|
AT&Tビルの鏡の外壁には眼窩の様子が映っていた。車の通行が良く見えている。948 |
また、ニコレット・モールやヘネピン通りは夜ともなるとネオンの輝きと共に地元の人たちや多くの観光客で賑わい、そこかしこのレストラン、スポーツ・バーは満席状態。
|
ヘネピン通り沿いにある1921年に開場、2500席を有するミネソタの四大劇場の一つ、Orpheum Theatre。元はNennepine Theatreと言っていた。この日はBlue man Showが開催されていた。 |
特にスポーツ・バーは深夜まで営業している店が多いでミネアポリスの夜を存分に満喫できる。
それに繁華街からホテルまでは徒歩の距離なので、帰りの足を気にしなくてもすむ。
|
1921年にイタリアンルネッサンス様式で建設されたState Theatre。客席数は2181。
当時はコンサートが毎日25¢で聞けたようだ。今日の出し物はKristin Chenoweth(女性ミュージカル歌手)のコンサート |
14 日の試合はツインズ対フィリーズのナイトゲームだ。
|
今晩の対戦相手はPhiladelphia Phillies |
|
8回表にレフト方向に眼を転じると2Outs,NoTwo。4-1でフィリーズがリード |
日本でこの両チームの有名な選手は誰かといったらフィリーズのショートJimmy Rollinsと四番DHのJim Thomeそれにツインズのキャッチャー、Joe Mauerであろう。
|
Joe Mauerのバッティング(ブリューワーズ戦)球審Brian Gorman |
それ以上に知られているのはフィリーズ監督のCahrles Manuelではなかろうか・・・?
彼は1976年ヤクルトスワローズに入団。翌79年には持ち前の打棒で日本一に貢献した。「赤鬼」と呼ばれファンに親しまれていたのは思い出深い。日本球界を引退した後、2005年にフィリーズの監督に就任。2008年にはチームをワールドチャンピオンに導いた。
この日の試合は2回にフィリーズがTy Wigginton7号ソロホームランで一点先行するも、その裏ツイ
ンズはTrevor Polouffeの12号ソロホーマーで同点。しかしフィリーズは3回、走者二人を置き四番DH
のJim Thomeが3ランホームランを放ち5-1とツインズを突き放した。8、9回にもそれぞれ一点を加
え、実力に勝るフィリーズが6-1でツインズを下した。
ツインズの主砲ジョー・マウアーはこの試合4打数2安打で打率を.307に上げた。
15日も、もちろんナイトゲーム。この日のツインズの相手はミルウオーキー・ブリューワーズ。
ヤクルトスワローズからポスティングで移籍した青木宣親選手が所属するチームだ。
|
ホテルからヘネピン通りを北上し左折するとターゲット・フィールドが見えてくる。
その手前ではRod Carew像が出迎えてくれる。1991年に殿堂入りし、祖国パナマにはロッド・カルー
スタジアムと命名された球場がある。背番号29はツインズとエンジェルスで永久欠番になっている。
981 |
今日はその青木選手に4回打席が廻ってきたが第一、二、四打席はともに二塁ゴロに終わった。
三打席目にはレフトへヒット勢の打球が飛んだが左翼手に好捕され4タコに終わってしまった。残念!
守備機会は一回、ライト前ヒットの打球をさばき二塁へ返球したのみに終わったが、青木の精一杯のプレー(バッティングとフィールディング)に感動。
「小さな身体で精一杯のプレーをする」それが彼の持ち味だが頭が下がる思いだった。ケッパレ、青木。
試合はツインズが5回にAlexi Casillaの適時安打そしてDenard Spanのスクイズで2点先取する。
ブリュワーズは6回、注目のRyan Braunの17号3ランホームランで逆転。
ツインズもその裏Trevor Plouffeの14号ソロホームランで同点に追いつきゲームをタイにした。
しかし9回表、ブリュワーズはMartin Maldonadが左翼への4号2ランホームランを放ち5-3で快勝。
|
5回裏、ツインズ2点を先取し、なおも二死・走者満塁でブリューワーズを攻め立てるが追加点ならず |
14日、ツインズ対フィリーズ戦の審判はCrew Mで、チーフはメジャー28年のGerry Davis。
そして、今日の試合の主審はManny Gonzalez、そして一塁Greg Gibson、二塁Gerry Davis、三塁Phil Cuzziの四氏。本来ならばこのクルーの一員であるBruce Dreckmanがマスクを被る予定だったのであるが、マニー・ゴンザレスがコールアップされマスクを被ることになった。
|
球審マニー・ゴンザレスのGet Set。スロットの取り方と頭の位置(高さ)に注目してください。これが最新のGet Setである。彼はヘルメット型のマスクを使用しています |
最近、プレート・アンパイアーのGet Setは「@スロットを確保」し、「A捕手の耳に自分のアゴを合わせた高さからトラッキング」している。
「スロットを確保する」ということは脳震盪防止策として浮上した技術で、最近のメジャーではシザースやニーズスタイルからボックススタイルで構えるアンパイアーが多いのもその現われである。
そして、トラッキングする上で捕手の捕球面が良く観える(確認できる)高さは捕手の肩口から観るのが適正なのであろう・・・。
そんなこんなで最新のアンパイアースキルがいろんな場面で変化していると感じられた。
グレッグ・ギブソン、フィル・クッチーは共に13年の中堅どころ。
彼ら、メジャー歴10年から15年位の審判の動きは鋭く、メカニックには切れがあり、そのメカニクスは多いに参考になる。
|
一塁走者は盗塁を敢行。二塁塁審のゲリー・デーヴィスは捕手の送球動作を観ています。常にボールを注視することが重要 |
今日の球審マニー・ゴンザレスは病気で戦列を離れたジョン・ハーシュベックの代わりに昨年メジャーデビューしたコール・アップアンパイアーで、ベネズエラ人初のメジャーアンパイアーでもある。
|
二塁塁審の位置取りに注目。無死又は一で走者単独三塁の場合、二塁塁審は三塁塁審がgoes outした時には三塁でのプレーに対応すべく、ショート後方に位置している。もちろん前進守備を敷いていることもあるが、これが最新の二塁塁審の位置取りである |
15日はクルーHの担当。裁く主審はチーフのBrian Gorman、一塁Todd Tichenor、二塁Larry Vanover、三塁Tony Randazzo。
|
試合前のプレートミーティング。審判四氏と両ティームの監督が本塁付近で互いの検討を誓い合う。この和やかな雰囲気が試合終了まで維持できると良いのだが・・・ |
20年のメジャーキャリアを持つブライアン・ゴーマンは平均的なセットをするアンパイアーであろう。スタンスはボックスで、セットした時の頭の位置はやや高いと感じられた。
しかし、メカニックとゲームをコントロールするスキルはさすがベテラン。
|
ブライアン・ゴーマンのGet Set。ボックススタイルで構えている |
以上、ミネアポリスの印象や観戦模様を記しました。
ここミネアポリスは筆者にとって初めてでしたが、とても気に入りました。
何てたって街がきれい、人が親切、こじんまりしていて観光に良し、買い物にも良くそして昼夜問わず食べ物や酒が多いに楽しめる。
|
ここミネアポリスは東に隣接するセントポール市とあわせ「Twin Cities(双子の都市)」と呼ばれる。ターゲット・フィールドの電光掲示にはMr.MinneapolisとMr.St.Paulが握手をしている様が映し出されている |
次回はWindy City Chicagoからお送りします。
To be continue.(続く) |