江の島貴志審判員
11月14日、21日、28日の3日間、企画:UDC、主催:アンパイア・アカデミー事務局、講師:平林岳さんのセミナーに参加しました。昨年に続いての参加目的は「アンパイアリング技術の向上」であることは言うまでもありませんが、今年は「基本へ立ち返る・修正する」を課題として臨みました。
また、いろいろな連盟・団体の方々との交流も楽しみのひとつです。期待通り、セミナー会場は毎回50名以上の参加者で熱気に溢れていました。
このセミナーの驚くべきことは、次々と積極的な質問が飛び交い、打ち切らないといつまでも質疑応答が続きます。会社の会議ではこれほどたくさんの質問は滅多にでてきません…。ひとつでも多く日頃の審判活動の悩みを解決しようとする参加姿勢と真剣さに刺激を受けます。
ケース・スタディでは(正解がないので)様々な意見が飛び交います。状況によってこれほど多くの解釈ができて、多岐の判断と瞬時の対応を求められるスポーツは、野球をおいて他にないだろうと改めて実感します。
【DAY−1】11月14日 第1回のアジェンダは「メカニクス(ジェスチャー)、インターフェアランス、オブストラクションの基本」でした。
サポートで来ていた大和貴弘さん(プロ野球審判員)によるコールのデモンストレーションがありました。即興で状況設定し、すぐにコールイン。
インターフェアランスのコール:
タイム(Time !) ザッツ・インターフェアランス(That's Interference !) ヒー・イズ・アウト(He's Out !) バッター・ファーストベース(Batter ! First Base !)
オブストラクションのコール:
タイム(Time !) ザッツ・オブストラクション(That's Obstruction !) ユー・セカンドベース(You, Second Base !) バッター・ファーストベース(Batter ! First Base !)
このフレーズを最後まで 流れるように言い切ると さすがに周囲は納得。思わず「お・おっ・・・ お見事」
試合中この長いフレーズ全てをコールしている審判員は おそらく多くないと思われます。私も後半のフレーズをコールした記憶がありません とても勉強になりました。審判員は「お知らせ係」という定義をもってすれば、このコールは理に適っていますね。
先日、専任記録係がいる私設リーグ公式戦で、試合前に「公式記録をつけるので わかりやすい大きな声でコールをしてほしい」と頼まれました。そして、さっそくきましたオブストラクション。(場面を想像してください…)
タイム(Time !) ザッツ・オブストラクション(That's Obstruction !) ユー・セカンドベース(You, Second base !) バッター・ファーストベース(Batter ! First Base !)
うーん、なかなか気持ち良いものです。試合後、記録係の方からも「声が大きくジェスチャーもあってわかりやすかったです」とコメントいただきました。
【DAY−2】11月21日 第2回のアジェンダは「球審の構え、インターフェアランス、オブストラクションの事例研究」でした。
「球審の投球判定」では、サポートで来ていた長井功一さん(プロ野球審判員)によるトラッキングのデモンストレーションがありました。眼球の挙動が梟時計のように右へ左へ, ボールの軌道を追いながらよく動きます。眼力強化の為には, 眼で8の字を描くトレーニングがよいようです。またトラッキング練習方法として、仰向けに寝転がり頭を固定し, 白い靴下を丸め(ボールに見たてる) 宙に投げて, 目だけで追う方法練習等が紹介されました。なるほど(^_^)
テクニカルには、ピッチャーがボールをリリースしたところから、キャッチャーミットにボールが収まるところまで、正確な軌道を眼球だけで追い、顔を固定して見ます。なぜならカメラと同じで、動くと違う像に見えボケてしまうからです。そして最後にミットを見ながらコールですが、ここまでしっかりおこなうことをデモンストレーションしていただきました。
球審の正しい構え方(スロットポジション)とトラッキングのレクチャーは、基本に立ち返ることで、改めて幾つかの気付きがありました。早速週末の試合で、これらのことを意識したことで 投球判定し易くなり、正確性・安定性が向上した気がします。(気がするだけかもしれませんが…)
インターフェアランス、オブストラクションの事例研究では、ランナーと野手の接触がいつ発生し、その時ボールが何処にあったかによって対処が変わってくるので、よく注意してゲームを見ていないといけないことを改めて学びました。
【DAY−3】11月28日 第3回のアジェンダは「正しい投球動作とボーク」でした。
正しい投球動作(ワインドアップ・ポジション / セット・ポジション)
ボークを理解するための(ステップとは? / 主なボークについて)
ボークを宣告後の処置(ボークのペナルティとその消滅)
UDC内川代表が球審役(むちゃぶり?)、平林さんが塁審役で、ボーク・コールの即興デモンストレーションがありました。審判同士のコールのコンビネーションを間近で見られ、とても参考になります。また、ボークを同調した審判に対して守備側監督が出てきた場合、ボークを取った審判の対応・同調した審判の対応等のデモンストレーションもありました。こちらも大いに参考になりました、今度は試合で自信をもってボークの同調コールをしたいと思います。
最後に、ボークと四死球などの注意事項について例題がありました。
例題:「1死走者2塁、投手がボークをしながら投球したが、その投球が打者に当たり、デッドボールとなった。」
このとき、
ユー・サードベース(You, Third Base !) バッター・バック・トゥー・ザ・バッグ(Batter ! Back To The Bag !)
と自信を持ってコールしたいですね。バッターは当たり損です。
3回のセミナーを通して、夢の実現を目指してきた平林さんのこれまでの体験の中から沢山のことを学ぶことができました。
セミナーで学んだことを、週末すぐに実践へフィードバックでき確認できることも、学ぶ励みになりました。昨年より少し多くの引き出しを持つことができたと感じています。
UDCのセミナーに続き、翌週12月5日には、同じく平林さんが講師を務める、ベースボールマガジン社主催のサムライ審判アンパイア・アカデミーにも参加しました。オフシーズンにしっかり復習して、シーズンがはじまったらアンパイアリングを楽しみたいと思います。
ENJOY UMPIRING !! |