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第95回高校野球選手権大会観戦旅行記(上)


白 球 男 児


 2つの手術を経て1カ月、2カ月と日にちが過ぎ去るごとに、精神的には僅かずつではあるが落ち着きを取り戻し、今年一杯は審判活動は無理をしないように心がけ、4月からの新しいシーズンを迎えることになった。

 このような自身の病状の経過をみて、10年連続観戦の夢は、昨年夏に途絶えてしまったが、体調面や気力面などを検討した結果、動けなくなったら2度と行くことはできない、ではどうする、行くなら“今でしょ“の、最近のはやり言葉に促された形で、今夏の甲子園観戦を実行に移すことにした。




 恐らく今回の旅が、甲子園観戦の最後の年になるであろうとの思いを寄せながら、甲子園球場へ向けて旅立った。

 旅程は、8月12日〜15日の3泊4日の予定で、ホテルは甲子園観戦時は常宿としている、大阪市内の関西ホテルで、7月初旬にネットで予約を済ませていた。

 8月12日(月)我が家を午前9時20分に出発、バス〜電車を乗り継いで、東京駅から13時50分発の“のぞみ113号“に乗車、品川〜新横浜〜名古屋〜京都の各停車駅を経て、新大阪駅に定刻の16時26分に到着。

 新大阪駅から在来線に乗り換え、一駅隣りの大阪駅まで行き、徒歩約10分で予約済みのホテルに、午後5時に到着した。

 この日は、午後5時半にホテル近くで、故郷(福岡県)の幼馴染で、現在神戸市在住の1年先輩の友人と、3年ぶりに会う約束をしており、夕食をしながら故郷の話や現在の趣味や体調などを話題にして、楽しいひと時を過ごして別れた。




 8月13日(火)、今日から3日間の甲子園観戦が始まることになるが、起床は6時でホテルでの朝食は6時30分、6時50分にホテルを出て梅田駅まで徒歩、梅田駅から阪神電車で特急電車に乗れば、約15分で甲子園駅に到着する。

 甲子園駅を下車して球場方面に歩いて行くと、入場券を求めて長蛇の列ができていた。
 甲子園球場には長い間通っているが、試合開始前からこのような長蛇の列ができていたのは記憶にないが、とにかく入場券を買わなければ球場内には入ることができないので、汗だくになりながらも入場券を求めて列の最後尾へ並んだ。




 10分ほど並んでいたところ、「只今をもって中央特別自由席券は完売となりました」との場外放送が流された。

 これでバックネット裏側の中央特別自由席には入場することができなくなった。

 さァ、どうする、内野自由席券を購入する方法もあるだろうが、呑気に考える時間はない、入場券を求めて並んでいた大勢の人たちは、蜘蛛の子を散らすようにそれぞれが球場の方角に向かって駆け出して行った。

 私自身の目指した場所は、外野席である。

 甲子園球場の春と夏の大会の外野席の入場券は、無料であることは知ってはいたが、関東から出かけて行って、外野席での観戦は予想だにしていなかったが、とにかく外野席でもよいので、席を確保しないことには観戦できないので、老体にムチ打って息を切らせながら、外野スタンドの空いている上段の席を目指して急勾配の階段を駆け上った。




 必死の思いで確保した席は、球場正面からみてバックスクリーン右横から5メートルほど離れた最上段の席で、後ろに看板を背負う形の場所取りとなったが、ホームベースが微かに見える遠い位置であった。

 しかし、住めば都という言葉の通り、座った席は背中に背負った形の看板が日除けとなって、直射日光が当たらず甲子園特有のハマ(浜)風にも恵まれて、外野席の穴場といえる席で、4試合のすべてを観戦した。

(つづく)


(2013年9月1日)



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