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Keep your uniform in good condition!
(審判員は常に心体と身だしなみを最良に!)


平成26年1月1日 元旦
♯47 Ump.


  2001年、イチロー選手がオリックス・ブルーウェイブからシアトル・マリナーズへ移籍した年、メジャーのメディアが「イッチローは自分でバットやグラブ、スパイクを磨いている」と驚きの記事が載ったことがありました。

 「自分が使う道具は自らが手入れする」という日本人誰もが思っていることをイチロー選手は行ったに過ぎないと推察します。


ジャケットとタイ姿のMajor League UmpireのBill Kinnamon in 1966

 当時は「赤いジャケット」を着用していました。当協会の甲斐雄之助氏が入校した審判学校の校長でした。

 筆者などは、幼い頃に父母から「食べ物や道具(もの)を大事にしなさい。自分で手入れして大事に使えば長く使えるから・・・」と教えられました。

 そんな時代に育った筆者は「自分のものは自分で手入れするのが当たり前」と今でも思っています。今で云う「節約、エコロジー」かもしれません・・・?
※昨今、この当たり前が出来得ない世代が多くなりましたが・・・。

 そんな幼い頃の習性が今でも残っている所為か、ものが中々捨てられないでいます。時には、捨てることも必用であるのかもしれない・・・。

 しかし「ものを大事にする」ということを今でも実行しています。

 自分の道具、審判員の道具、ユニフォームなど等は文明の利器(?)、洗濯機を使わずして自ら手洗いをしているんです。

 洗濯機で落ち難い頑固な汚れも、洗濯石鹸で揉み洗うことで圧倒的にきれいになります。


筆者愛用Diamond社のShin Guard
衝撃にも強く頑丈。日本製のパンツでは入りませんのでご注意。

 皆さんもアンダーシャツ、アンパイアー・シャツ、パンツ、スパッツ等は試合後、必ず自ら洗濯していることでしょう(これ、当たり前・・・)

 しかし、身に着けているチェスト・プロテクター、シンガード、マスク・パッド等を、洗濯している方は案外少ないはずです。


筆者愛用Champion Chest Protector
一寸フラットですが、ファウルにも強いです。価格もリーズナブル。

 プロテクターを着用する時、何かの匂いがしてきた「変な匂い。何の匂い??」という経験がおありでしょう・・・。

「プロテクターやレガースって洗えるの・・・?」と思っていた方、是非道具たちも暖かい風呂に入れ、キレイになってもらってください。喜びますよ、彼らもキット・・・。

 ユニフォームだけで無く、着用する道具もきれいにクリーン・アップすることも大事ではないでしょうか?


何時も愛用しているD社のマスク(写真上)に付けているTeam Wendy社のマスク・パッド、タン(写真下)
マスクは軽いし、パッドは衝撃を吸収してくれる優れものです。両方で500gくらい?

 また、マスク・パッドの汚れも決して侮れません。
 特に黒のパッドを使用していると汚れが判り難くて目立たないし・・・。
「汚れてない」と勘違いしてしまいますよネ。

 実は、顎から染み出た脂分や汚れがパッドにびっしりと付着しているんです。

 筆者が愛用しているTeam Wendy Mask Pad、タン色はその汚れが特に目立ちます。

 ですからクリーニングしても不自由がないように二個購入し、予備を確保しています。

 パンツの汚れは、兎にも角にも手動のもみ洗いが絶対です。
洗濯機に任せっぱなしでは、毎々の審判活動でチリや砂ぼこりをふんだんに吸ってしまったパンツの汚れは絶対落ちていません・・・。


常時はいているS社の球審、塁審兼用のチャコールグレイ・パンツ。
このパンツですとD社や米国製のシンガードも楽々入ります。

 特に汚れが目立つ箇所は、尻のポケットの両淵と裾そして大腿部の辺りです。
そこの汚れを落すにも手洗いをお勧めします。

 「そんなこと当たり前だ。解ってらいっ!」と仰らずに、どうか実行してみてください。

 ここで、筆者の洗濯方法の一端を述べてみます。

T:衣類(シャツ類、パンツ類と帽子、ボール・バッグやマスク・パッド)


桜の開花時期に着用しようと思っているH社のピンク・アンパイアーシャツ。
価格の一部が「ガン撲滅活動」に寄付されている。


(1)洗濯剤を溶いたぬるま湯に30分程度浸けておく。
(2)その後に、軽くもみ洗い。
(3)そして、シャツ、パンツ毎に固形洗濯石鹸を付けて再度揉み洗い(伝統の手仕事)
 その際、パンツの裾、ベルト通しの裏表、ファスナー部、股下やシャツの襟足部、
 脇の下、汗の滴り落ちた背中、お腹の前部は特に入念に洗う。
  (4)その後、それぞれを濯ぎ、脱水を掛け干す。
※ボール・バッグの裏や刷毛、筆記具が入るところにはぬるま湯を入れ、逆さにして埃や砂等を流し落とす。
 ※マスク・パッドは歯ブラシ等に固形石鹸を付け、軽く廻し洗いを推奨。
   ※ついでに、刷毛も洗い流しておきましょう。


これも愛用、All Star社のマスク。
軽量で視野が広く、トラッキングをしやすいのが特徴。

U:審判道具(チェスト・プロテクター、シンガード、マスク、靴など)

 風呂場を利用し、少々熱めのシャワーで染み付いた塩分、チリ、砂埃などを入念
に流す。
 その後、タワシや歯ブラシ等に固形洗濯石鹸を付けゴシゴシと廻し洗い。
プロテクターのアンチ・ショック部(スポンジ部分)の首周りや腹部を踏み洗い
するのも良い。
 (4)レガースの向こう脛部分は丁寧に洗う。
 (3)鋲や金属部は錆びやすいので、錆止め防止を施しておくと良い。   
 (4)マスクは乾拭きした後、水で濡らした布で拭いておく。
 (5)審判靴の手入れは、皆さんご存知なので省きます。

 ユニフォームや道具の手入れは手洗いに限ります。それも愛情を込めて・・・。
 そうすると、みな気持ち良くきれいになってくれること請け合い。

 
 そんな気持ちを込めて、筆者はユニフォームや道具を洗っています。

 剛速球や強烈な打球から身を守ってくれているのです。感謝、感謝です!


今は亡きHarry(左)とHunter(右) Wendelstedt 親子。1988撮影
両氏共にギグ・ラインが整っています。

 プレスの効いたシャツ、プリーツが立ったパンツそしてギグ・ラインが整った装い。
 グッド・コンディションの道具や靴、真っ直ぐに被った帽子。

 優良な身だしなみは審判員としての第一歩であり、同僚、選手や観衆から信頼を勝ち得る最良の方策でもあります。

 規則書9.00の後項「審判員に対する一般指示」には「審判員は常に、制服を清潔に保ち、正しく着用すること」と書かれています。


2012年World Series Crew ChiefのMr. Gerry DavisとMLB SupervisorのMr. Charlie Reliford。
2013 WBC Tokyo Round 2nd 、日本対オランダ戦の前に東京ドームホテルで面会した両氏。

「2013 OFFICIAL BASEBALL RULES」にも「GENERAL INSTRUCTIONS TO
UMPIRES」 として「Keep your uniform in good condition」と記載されています。


ホームプレート・ミーティングでメンバー表を交換する球審の平林岳氏。
 2009年、3Aインターナショナル・リーグで活躍した平林岳氏と1BU(クルー・チーフ)のR.J Thompson(写真中央、クルー・チーフ)と3BUのJustin Vogel(左)
三方のパンツの丈に留意。つんつるテンでは決してない。ワン・ブレイク程長めにはいている。

Clean up yourself and your uniform, umpires’ equipment!

※掲載した写真の無断転載禁止


(2014年1月1日)



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