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Instant Replay starts from 2014 Official Games
(インスタント・リプレーが始まるゾ!)


#47 Ump.


 昨2013年の8月に適用拡大の方針が発表されていたインスタント・リプレー(ビデオ判定)が30球団のオーナーに続いて1月16日、選手会(MLB Players Association=MLBPA)と審判組合(World Umpires Association=WUA)からも承認を受け、2014年季より運用されることになった。
 アトランタ・ブレーブズの社長であり、インスタント・リプレー委員会の座長でもあるジョン・シューホルツ氏は「この決定は複雑なものであるが、より完璧なものにするためには今がその時である」と苦しい胸の内を明かした。また、バド・セリグコミッショナーは「この決定は歴史的なことだ」と語った。
 このシステムはメジャー30球団の球場に各々12台のカメラを備え付け、グラウンドとニューヨークのメジャー機講本部のプレー・コマンドセンターを直結し、オフィシャル・リプレーアンパイアーがビデオを解析し、最終的な裁定を下しグラウンドの球審に伝えるというものである。
 既に昨年のアリゾナ・フォールリーグで試行されており「アウト」が「セイフ」に、「セイフ」が「アウト」に、そして「ヒット・バイ・ピッチ」が「ファウル」へ判定が訂正されている。
 下記はシューホルツ氏のインタビューとアリゾナ・フォールリーグで試行され映像です。
セイフがインスタント・リプレーでアウトに訂正された。

http://m.mlb.com/video/topic/vtp_hot_stove/v31304545/schuerholz-discusses-the-process-of-installing-replay

 両チームの監督は審判員の判定に対して、一試合にそれぞれ一度だけビデオ判定「チャレンジ」を要請することが出来る。
しかし「チャレンジ」して審判員の判定を覆す事が出来た場合には、もう一度「チャレンジ」を行使することが出来る。ただし、一試合の「チャレンジ」は2度迄で、その時点で監督は「チャレンジ」の権利を失う。
 また、監督が「チャレンジ」を行使した後であっても、試合の7イニング目以降は主審の判断によってインスタント・リプレーを使用することが出来る。


昨秋のアリゾナ・フォールリーグで試行された「インスタント・リプレー」 球審がヘッドフォーンで判定の成否を確かめています。
  

 インスタント・リプレーの適用範囲は(1)本塁打、(2)グラウンド・ルール・ダブル(エンタイトル・ツーベース)、(3)スタンドとの境界線の判定(その他のグラウンドルール、悪送球等によるアウト・オブプレイ等)、(4)観客による妨害、(5)封殺(併殺時にピボット・マンが二塁ベースに触れたかどうかは除く)、(6)タグ・プレー(盗塁とピックオフを含む)、(7)外野のフェア/ファウル、(8)外野手のキャッチ/ノーキャッチ、(9)死球、(10)タイム・プレー、(11)走者の触塁、(12)走者の追い越し、(13)その他、記録の状況(ボール/アウト・カウント、得点、選手交代等)
 ただし、本塁打の判定に関しては、従来のインスタント・リプレーの使用を求めることができるが、それを使用するかどうかは主審が決める。


従来のインスタント・リプレーに使用されているリプレー・ボックス。この写真はセーフィコ・フィールドの審判室とフィールドを結ぶ通路に備え付けられ、本塁打かどうかを映像で確認している。
  

 監督やコーチらは「チャレンジ」に当たり、ダグアウトにいてリプレー・オフィシャルと同じ映像にアクセスできる自軍のビデオ担当とダグアウトの電話を通して相談しても良いとされる。しかれども、監督は迅速に「チャレンジ」をする必要がある。一方、次のプレーが始まってから或いは遡って前のプレーについてインスタント・リプレーの使用を求めることはできない。


塁審判は一塁封殺「セイフ」の判定
  

 なお、このシステムはスプリング・トレーニングのいくつかの試合で再試行され、不具合や細部の修正を加え2014年の開幕とともに正式運用される。


だが同じプレーで監督がチャレンジを行使。インスタント・リプレー後「アウト」に訂正された。
  

※※※(5)Wプレー時、野手の触塁が対象とならなかったことに付いて、メジャーでは「Neighborhood play」と云う、ピボット・マンが 足をベースから早く話す行為で、走者のスライディングでスパイクされるのを防ぐ意味で「暗黙の了解」として認められているものである。だたし「良い送球がきて意図的に足を離した場合、送球が反れた為に足が離れた場合」にはアウトコールされないことは云うまでもありませんネ※※※
 巷間、このインスタント・リプレーの採用で野球がつまらなくなる、或いは審判の権限が無くなってしまう、はたまた野球の神様がお嘆きになるなど等の声が聞こえてくる。
 だがしかし、時代が何より「正確な判定」を要求し、野球の神様もそれを求めているのである。と同時に、審判員としての資質や技量が問われる時代になったということかもしれない。
 ベイスボールも野球も年々進化している。また、規則も様々なプレーが起こる度に、より整合性の高いものへと改正されている。審判メカニクスもまたしかり。年々歳々、進化しているのである。
 アップ・グレードした技術やスキルを学び、身につけなければ到底現在の技量を保てないと筆者は感じている。一流審判員の心構え、他審判員の動きやメカニクスなど等、自分自身の勉強になる素は身の周りにある
 より一層自分自身のスキルを向上させ、観る人やクルーそして選手から信頼を勝ち得たいと思う今日この頃である。
 球春間近。さァ〜、審判をもっと楽しもう!


(2014年2月15日)



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