派遣審判員の歴史と今後の展望と役割 審判用マスク
甲斐 雄之助

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 20世紀後半は戦後の復興から発展の時代であり、経済及び社会の発展はめざましく、高い水準の生活環境に達しました。世紀末にはバブル経済の破綻により経済及び社会の状況は一変して、混乱した状態でこの世紀を終わりました。

 この年代は企業及び経済の立て直しの時代となりましたが、状態を元へ戻すのではなく、新しい発想と展望を持つ変革を伴うものとなりました。

 その理由を述べれば、この動きは世界規模のものであり、何事についても、所謂グローバル化と言う言葉が使われ、これは企業及び経済政策に於ける価値の創造とそのコストを目的とした国際競争に立ち向かえる体制作りにありました。

 資源が乏しく生産コストが高い我が国では、企業が海外拠点の確保と国内ではコストダウンの徹底と合併及び外資導入に拠る企業資本の拡大と体質強化により、国際及び国内での生き残りを図る厳しい企業経営を背景とした経済及び社会情勢のなかで、アマチュア野球の催しとこれに係わる審判活動の実態についても多くの変化が現れました、

 以前の号で既に述べたように戦後復興と発展のなかで企業や団体、健康保健組合及び各種連盟等の催す土壌の基で大会やリーグ戦が維持されてきたのがアマチュア野球の実態でありました。

 しかし、20世紀の終盤には、バブル経済の崩壊と企業経営及び世界経済の生き残り競争の激化に起因する経営の合理化が進み、この様な社会情勢のなかで、企業や団体及び健康保健組合等が催す大会やリーグ戦が衰退し、減少するなかで、新しいアマチュア野球ゲームの催しが現れ、大きな流れとなりました。

 20世紀後半はパソコンによる情報処理能力の飛躍的発展があり、21世紀にかけてネット社会へと突入し、これに拠る情報の共有化社会となり、この情報を常に共有できるネットを利用した新しいアマチュア野球の催しを確立したのがこの年代でありました。

 ここでお断りしておきますが、本文で述べることは人口密度が高く、野球を楽しむチーム数が圧倒的に多い首都圏及び大都市に於いて顕著であっても、地方ではそれぞれ従来からの情勢事情があることも聞いております。

 このネットを媒介手段とするゲームの催しはホームページによるチームの概要説明と対戦相手の募集から始まり、そこから仲間ができ、同好の輪が広がり、豊富なネット情報のなかでさまざまな対戦相手選びができ、アマチュア野球を楽しむ為にはネット情報は重要な媒介手段となりました。

 この様な状況のなかで私設リーグを組織するグループができ、更には私設リーグを主催し参加チームを募集して、レベルと実績に基づくクラス分けを行い、公式戦を催す組織が出現して、ネット関連の催しはアマチュア野球の中で幅広い活動分野を占めることになりました。

 この自由な自分達の意思で活動する分野はネットを媒介手段とした多種の趣向を持った活動体に集約され発展したものとなり、アマチュア野球ゲームの催しについて見れば首都圏では各種連盟等の催す大会と共に催しの主流となりました。

 この新しく発展した活動体には限定された時期、期間及び試合数と言った制限はなく、春夏秋冬気象条件が良ければ何時でもゲームを行っております。

 この発展の理由を要約すれば、
★自分達の意思で自由に対戦相手を募集したり選択したりできること。
★自分達で仲間を集いリーグ戦やトーナメント戦を実施できること。
★ネットを手段として主催されるリーグ戦やトーナメント戦へ参加できること。
★一年間を通して自由にゲーム設定ができること。等であります。

 そこには義務や制約はない、自分達の自由な意思による多様な趣向を持った野球ゲームの楽しみ方があり、今後のアマチュア野球の一分野を形成する方向を示しております。

 これらネット関連で繰り広げられるゲームの年間総延実数は大変な数になってきました。


(2011年6月1日)


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