昨年の12月に「15時〜17時」の時間帯の審判をやりました。この時間帯は太陽が沈む直前です。それもバッターボックスからは逆光のグランドでのゲームです。
打者、捕手、球審はボールがまったく見えないのです。特「ストライク」が見えないのです。なぜかといいますとストライクのコースに逆光がちょうど射すのです。面白い事に左右に外れたボールは見えるのです。最悪なのはスローカーブです。投げた瞬間にボールが消えるのです。そして捕手のマスクに当たるのです。
困った事に捕手がボールを捕れず、すべて球審の私に当たるのです。当たると分かっていれば痛くないのですが、ボールが見えないで当たるのは、痛いのを通り越して「恐く」なってきました。
もちろん打者も「集中」できません。ただバットにボールを当てるだけのバッテッングしかできずヒットになりません。
それでも審判は「判定」をしなければなりません。そこで私は思い切って、捕手の位置より低い姿勢をとりました。ほとんど「はつつくばる」姿勢です。
うしろの観客から「審判なにやっていんの?」という声が聞こえました。この姿勢は実に疲れるし、また、バットが飛んできた時に避けられない危険を伴います。
1時間が経過しましたが、太陽はまだ沈みません。本来ならばビルの下に沈むのに、なんとビルを避けて沈みはじめました。状況は最悪です。
そこで私は一計を思いつきました。前に読んだ本のなかで「球審は投手の横からストライク、ボールの判定をした」これを早速実行しました。
私は自慢ではありませんが視力はいまでも「1・5」です。不思議なこに、最近はだんだん遠くが見えるようになってきました。もちろん老眼は進んでいます。
投手の横からの判定は「正解」でした。見えないボールを無理して捕手のうしろから判定するのは間違いでした。
この試合、投球が見えないので早い時間に終わってしまいました。選手に
「面白いからもっとやろーよ」といいましたら。両チームの捕手から。
「やめてくださいー。眼がチカチカして物が黄色に見えます。体中もアザだらけです」
「だれだ。こんな時間帯にグランドとったのは」
「審判さんが捕手をやってくれるならやってもいいよ」
ナイターの光が明々とグランドを照らしはじめ、絶好のコンデションになりました。
「はい。はい。分かりました。整列。ゲームセット」。
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