審判員の 背中 背中画像
□□ 臼井淳一審判員 □□


【17】 続 珍・チン物語
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 投球が捕手や審判の「股間」に当たることはよくある事ですが、なんと、なんと捕手の返球が投手の股間に当たってしまいました。

 試合は1対1の同点の最終回での緊張した場面です。2アウト走者3塁、カウント2ストライク・3ボールで、打者はファールボールを打ちました。私は捕手に新球を渡しました。その時、投手は後ろを向いて野手になにか「叫んで」いました。

 私が「あっ」と思ったときには、捕手はボールを投手に向かってもの凄いスピードで投げました。身長1メートル93センチの投手は、体を前に向けた時にはボールはものの見事に投手の股間に当たりました。

「もだえ苦しむ」投手。「ポカーン」としている捕手。一瞬何事が起こったのか分からない両チームの選手。

 そのうち「事の重大さ」に気がつき。捕手は他の選手から「集中攻撃」を浴びることになりました。

「捕手は女房役だろ。なんで女房が旦那の股間に球をぶつけるのだ。バカ!」。「この試合負けたらお前のチンコを取っちゃうぞ。バカ!」。「こんなチン態は野球を永いことやっているが初めてだ。バカ!」。等々。

 マウンドで「もだえ苦しむ」投手の姿を見て、両チームの女性応援団・約20人は「クスクス」笑っています。なにしろ一番高いところにいるので「目立ち」ます。

 約5分間の中断で試合を再開。そして「カーン」と打たれて試合は終わりました。その瞬間、投手はグラブを叩きつけてマウンドにうずくまりました。捕手がマウンドに近づこうとすると「左手」を上げて「来るな」のしぐさをしました。

 球審の私は「笑いを堪えて」。両チームを集めてゲームセットを宣告。よっぽど「チーン・カーンでゲームセットです」と言おうと思いましたが止めました。

 いーや。永いこと審判をやっていますといろいろな「出来事」にぶつかりますが、今回のように捕手が投手にぶつけた。それも股間に「球」です。

 拝啓 ますます審判が楽しくなりました。今日このごろです。敬具。


(2004年9月1日)


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