審判員の 背中 背中画像
□□ 臼井淳一審判員 □□


【21】 マナーとは
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 そもそも「野球マナー」とは何のことなのでしょうか。実は「野球」が頭につくからややこしくなるのです。「マナー」だけでいいのです。

 私たちが野球を始める前段階として、まずはグランド取得からはじまります。それから相手チームに打診をいたします。逆に相手チームから打診される場合もあります。

 ここで第一歩の「マナー」がはじまります。メールの書き方にも「マナー」があります。電話のかけ方にもマナーがあります。ここで上手くことが運びませんと、まとまる試合もまとまりません。試合を組むということは「事業」だと考えてください。20人以上の人が同じところに集まるのです。「事業」には大変なエネルギーを消耗します。いろいろな人の協力が必要です。一人の力では限界があると思います。

 さて、いよいよ試合当日です。いわゆる「ご対面」です。ここでのマナーはグランド取得したチームに「挨拶」して、費用、その他を清算するのがマナーです。

 審判の眼から見ていますと、これに意外と時間をかけています。試合開始5分前でやっと挨拶しているチームを見かけます。時々見るに見かねて審判員が仲介に入ることもあります。

 本来ならば上記のことは、町・市・区の主催大会ならばやる必要がないのです。インターネットを通じて自主的におこなっているリーグ戦・大会にはこれが欠かせません。

 いよいよグランド入場となりますが、実はここからが面倒なマナーが必要なのです。私たちは2時間単位で普通グランドを借りております。2時間一杯に使ってしまいますと次のチームには迷惑をかけてしまいますので、通常は10分前に試合を終え、5分で整備をして退場します。

 これがスムーズに行くチームはマナーがいいです。が、意外とぐずぐずして次のチームに迷惑をかけています。
 私はギリギリまで使用した場合は、まずはベンチを空けて、それからグランド整備をするよう指示します。

 試合が始まりますと結構「熱く」なる人がいます。また、なんでもない「ヤジ」を気にして「審判さん。注意してください」と言ってきます繊細な人もいます。
 ここでの「マナー」は相手の立場に立って「行動」することです。「すいません」「大丈夫ですか」の一言が、「楽しい野球」になってきます。「さしのべる手、受けとめる心」がどんなスポーツのマナーにも共通していると思います。

「勝負にこだわる」ことは「マナーにこだわる」ことと同じだと私は思います。いろいろなチームの審判をやってきましたが、やはり「マナー」がいいチームは強くなっていきます。

 初めは「へたくそ」なチームでも、マナーがしっかりしているチームは、2、3年後に「大変身」するチームを見てまいりました。
 マナーの悪いチームには、いい人材が集まらない。「仲良しクラブ」のチームになり、消滅していきます。

「野球マナー」とは、野球をやろうという出発からはじまります。これが上手にできないチームの多いいのには時々驚かされます。

 マナーは挨拶で始まり、挨拶で終わります。
「負けて悔しいけど、このチームともう一度対戦したい」と対戦相手に思わせるチームはマナーがいいのです。と、同時に「対戦したい」と思うチームもマナーがいいのです。

 マナーは「常識」です。とても難しい「常識」なのです。


(2004年11月16日)


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