審判員の 背中 背中画像
□□ 臼井淳一審判員 □□


【22】 審判員の「資質」
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 グランドに早く到着しましたので、前の時間帯の一人制の審判を見学させていただきました。この方の審判の「基本」「スタイル」ができていないことが分かりました。だが、スコアーボートを見ますと8回の裏をやっていました。
 この審判の様子を見ておりますと、選手に対する対応がとても「優しい」のです。それでいて「インターフェアー」などを的確に説明していました。試合の進行にも無駄がないのです。

 試合が終わった後、「ごくろうさまです」と声をかけました。すると。
「私は、審判は自己流でやっているのです。ルールも規則書だけでしか勉強していません。ストライクゾーンも甘いのです。選手も兼ねています。審判が大好きなのです」ととお話してきました。

 私はこの一言で、この人はとても謙虚に人だ。そして審判をよく理解している人だ。と思いました。
 こういう人が本格的に審判の勉強をしてくれれば、素晴らしい審判員になるのではないかと思いました。

 審判員の「資質」とは、まず選手に「好かれる」ことです。好かれることとは「信頼」されることに結びつきます。次に「謙虚な気持ち」を持ち続けることです。

 今までいろいろな審判員の方とお知り合いになりましたが、審判員の「資質」を見てもらうには、信頼できるチームの監督に意見を聞くことにしています。

 チームの監督の意見もいろいろです。
「うーん。ちょっとね。判定があやふやで、ストライクゾーンもまちまちです」
「うーん。問題ないのですが、えばっていて、楽しくない人ですね」
「いーや。ジャジは正確ですが、選手に対してつまらない文句が多い人ですね」
「いーや。試合の後の野球指導は勘弁してほしい。こちらにも方針があるのです」

「いい審判に来ていただきました。またお願いします」
「元気があっていい審判さんですね。気持ちよく野球がやれました」
「いーや。凄く動く方ですね。ホームからセカンドまで走ってきますね。びっくりしましたよ」
「○○区の大会の審判と比べると、動きがいいですね。とくにカウントを毎回言ってくれるので安心です」


 昔、カウントの間違いを訂正しない審判員をみました。選手が訂正を求めましたが、ガンとして訂正しませんでした。だが、その場の「雰囲気」としては「まぁ。一生懸命やっているのだから仕方がないか」という感じに包まれていました。

 審判員の「資質」なんてものは、その人の「人間性」だと思います。たとえルールの「適用」が間違っていても、その場で「納得」してもらえばいいのです。

 審判員のミスを「重箱の隅を楊枝でほじくる」ことは、私は大嫌いです。審判員をやろうという人は、皆さんはとてもいい「資質」を持っているのです。

「審判員を育てるのは、審判員ではなく、チーム、選手の皆さんです」と、思うようになりました。
 審判員は「黒子」ではありません。そのゲームの「主導権」を握っている「主役」でもあるのです。

 野球もシーズンオフにはいりました。実はここからが、審判員のための審判員の「勉強」がはじまるのです。


(2004年11月30日)


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