|
|
●疲労骨折(Stress Fracture) 【原因】 通常の外傷性骨折は、1回の大きな外力によっておこりますが、疲労骨折は長時間の歩行、疾走、跳躍などの繰り返しに伴う外力によって足(特に中足骨)におこります。 骨にも金属と同じように疲労現象があり、持続的に同じ部位に反復して力がかかると、骨組織が損傷されます。 スポーツの種類によって損傷される部位も異なります。ランニングやジャンプなどにより、膝と足首との間にある脛骨や腓骨に最も多く見られ、第2、第3、第4中足骨にも高い確率でみられます。 野球のピッチャーやランナーなどには、第一足指種子骨の骨折があると言われます。 ジョギングやラグビーなどのランニングの多い球技では、踵骨の疲労骨折も少なくありません。 バレーボール、野球、剣道などでは、前腕の尺骨(小指側の骨)に、ゴルフでは肋骨におこることもあります。 【症状】 骨折部に痛みがあり、運動時に強く、安静にすると症状は軽くなります。 骨折部は腫れ、押さえると痛みます。初期にはX線像で変化はみられず、骨シンチグラフィーでのみ異常が見つかります。 骨折ではありませんが、ランニングのし過ぎによって脛骨下方の内側の骨膜がはがれて痛むことがあります。 【診断】 反復練習の種目や、トレーニングの内容などについての問診、視診、X線検査、早期診断には骨シンチグラフィーなどが有用です。 また、炎症性疾患や、骨腫瘍などと区別するために、血液検査も行います。 【治療】 手術が必要な場合もあるので、早期診断、早期治療が重要です。 早期治療をすれば、2〜3週間の安静だけで痛みはおさまります。 症状や部位によってギプス固定、テーピング、弾性包帯などが用いられます。スポーツは少なくても1ヶ月以上は中止します。 【心得】 スポーツをする場合、シューズや練習用具が自分に適切であるかの再検討が必要です。 スポーツの練習方法は、同じ反復運動を続けることをせず、バランスのとれた筋力トレーニングを行うようにしましょう。 うさぎ跳びなどで腓骨の疲労骨折をおこすこともあります。年齢や体力に合わせた、正しいトレーニング法を計画的に行いましょう。発育期に、激しい過度の反復動作をする運動(スポーツ)は良くありません。
●野球肘(Baseball Elbow) 【原因】 野球の投球動作によっておこる肘関節の障害で、ソフトボールや、やり投げなどによってもおこります。 投球の際に、肘関節外側の骨の間には、圧迫力や、回旋力が働き、内側では、筋肉や靭帯に負荷が加わり、筋肉や靭帯の付着部(上腕骨内側上顆部)も引っ張られます。 したがって、外側では上腕骨小頭部に離断性骨軟骨炎がおこり、軟骨片が遊離することもあります。 内側でも筋肉や付着部に炎症を起こしたり、骨に変形をおこすことがあります。 【症状】 日常動作の肘の屈伸には、あまり問題はなく、投球時に鈍痛または鋭い痛みがあります。 進行すると、肘の曲げ伸ばしが制限されるようになります。 【診断】 問診、視診、X線検査などを行います。 【治療】 初期の場合、X線像では異常を認めません。 投球練習を中止し、湿布をして患部を安静にすると良くなります。 痛みの強い場合は、消炎鎮痛薬の投与が行われ、2〜3ヶ月で多くは治ります。関節内に軟骨の遊離体ができた時には、手術をすることもあります。 【心得】 投球の際に変化球を、あまりたくさん投げないようにしましょう。 一度に続けてたくさん投げないようにし、連日の登板は避けましょう。肘に痛みを感じたら、投球を中止しましょう。 |
|
|||
|