(4) 一人制審判の「伝家の宝刀」
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 両翼70メートル以下のグランドは結構多いです。私が知っているだけで5ヵ所あります。特にフェンスが低いグランドは外野へ飛んだ打球はほとんどホームランになってしまいます。

 実はこういうグランドでやる一人制審判はとても「楽」なのです。試合そのものは、つまらなく、大味になってしまいます。

 なぜ「楽」なのかと申しますと、狭いのですべてのプレーが近くで判定できるのです。気をつけなければいけないのは「ライトゴロ・ファーストアウト」「センターゴロ・セカンドアウト」「レフトゴロ・サードアウト」フォースプレーの場合です。

 こんな狭いグランドで3人制・4人制審判付を行なった場合は、審判員が邪魔になりプレーの妨げにもなりかねません。

 二人制審判で行なった場合は、これは二人制の勉強には最高に楽しいです。塁審・球審ともコマネズミのように動けるからです。

 まぁ、本来は両翼最低80メートルのグランドでやって欲しいものです。

 一人制審判でランナーがいた場合、ボークがどうしても見落としがちになります。投球に集中しながら、ランナーも見なければなりません。

 正常に牽制球なら問題ありませんが、特に1塁への牽制で正しくステップを踏んで牽制しているのか、投手板を外しているのか、瞬時に行なわれますとボークを自信もって取ることが出来ません。

 一人制審判でボークがしっかり取れるのは、ランナーがいた場合に「静止」して投球しているかどうかぐらいです。

 セットポジションの投球静止を一番早く「発見」出来るのはランナーです。

 困ることは審判より早く「ボーク」と声をかけられることです。実はこれも一人制審判ですと時々見落とすことがあるのです。

 昨年、某チームより「〇〇審判員は何回言ってもボークを取ってくれません。証拠のビデオを送ります」と私に言ってきました。よく調査いたしますとやはりボークでした。

 ここでの問題は審判員にも「非」はあります。ただ「ボーク、ボーク」と何度も叫ぶようなやり方は良くないと思います。やはりきちんと監督を通じて審判員と話し合う姿勢が必要です。

 審判員は一人です。攻撃側全員から「抗議の声」が上がりますと、ベテラン審判員も時には慌ててしまい、冷静を失ってしまいます。

 どうもアピールと抗議を混同しているチームがあります。審判員の裁定に対してアピールできるのは監督だけなのです。これもテレビのプロ野球の影響だと思います。

 メジャー・リーグなどでも、時々ストライク、ボールで審判に文句を言っていますが、これも度が過ぎますと「即退場」になっています。

 日本では審判員が選手に「こづかれる」場面はよくあります。最近では、ストライク、ボールでコミッショナーに提訴しているチームがいることに驚かされます。

 勝負に熱くなると誰かが冷静でないといけません。それが審判の「役割」なのです。一人制審判では中々大変ですが、二人制審判ですと、すぐに相談したりして対応できるのです。

 昔、チームと喧嘩して「審判放棄」した審判員の話を聞いたことがあります。もちろん相手が理不尽なことを言ってきましたら「審判放棄」は当然だと思います。これが一人制審判の「伝家の宝刀」だと思います。

 ただ18人のわがままな「息子」がいると思いますと、とても楽しくなり、一人制審判で良かったことも多くあります。   


(2006年6月15日)


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