(7) 一人審判員のドキドキ
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 先日の試合で「(1)一人制審判の孤独」で書いた状況と似たようなことが起こりました。
http://www.terra.dti.ne.jp/~j-usui/mbua/sikaku/data/sikaku001.html

 1アウト、ランナー2,3塁でセンターへフライを打ちました。3塁ランナーはタッチアップしてホームへ。2塁ランナーもタッチアップして3塁へ。

 ここでは球審は後ろへさがり、角度をとりセンターの捕球の確認と、それぞれの走者のタッチアップを確認するのですが、残念ながらバックネットの距離が2メートルしかありません。

 このような狭いグランドでは視界が狭くなり、センターの捕球と3塁走者のタッチアップの確認しか出来ません。

 さらに複雑なフレーが伴いました。センターから3塁へ「矢のような送球」が来ました。ここでのプレーはタッチプレーです。

 ホームへの到達と3塁のタッチプレーの両方を見なければなりません。もちろんその前にセンターの捕球、2、3塁のタッチアップの確認が必要です。

 3塁のタッチプレーのアウトが早ければ、得点は無効になります。

 上記のことをすべて一人で見なければなりません。グランドの後ろが狭いので3塁のプレーとホーム到達プレーを見ることが出来ません。

 そこで私は、本塁でのプレーは全力走しているので、3塁のタッチプレーを見ることにしました。結果は3塁アウトでチェンジです。

 このように文書にしますと簡単ですが、3塁へ「矢のような送球」に一瞬の判断が求められます。

 選手から「審判さん1点入りましたね」
「ハイハイ。もちろん1点入ります」

 内心は守備側から抗議がきたらどうしょうかと思ってドキドキしていました。

 一人審判でこのような複雑なプレーを「瞬時に判定」するのは辛いものがあります。また、このプレーは選手に聴くわけには行きません。審判員にお任せ以外ありません。

 このプレーの判定は通常のグランドであれば視界が取れて、もう少し正確に判定できます。

 最近はWBCの「タッチアップ事件」、巨人・小関の「3塁ベース踏み忘れ事件」の影響でしょうか。この二つのアッピールが多くなりました。

 一人審判で一番見落とすのは各ベースの触塁(ベースを踏む)です。例えばセンターへの高く上がったフライ。この場合、審判は前へ出て捕球を確認します。ところが捕球を確認した時点でランナーはすでに1塁を回って2塁へ向かっています。

 さらにセンターが落球します。そして一塁手から「審判さん。ベース踏んでいない」とアッピールされても、一人審判の場合はアッピールに応えることが出来ません。なにしろ触塁を確認していないのです。

 見ていないものをアウトにすることは出来ません。「踏んでいました」と言い切る以外はありません。

 そこで、最近は外野へ飛んだボールは前へ出て追わないで、後ろへ下がり、捕球と触塁の両方が見える位置で判定するようにしています。

 実は後ろへ下がるのもリスクが大きいのです。とくに捕球困難なボール(トラブルボール)は前へ出る必要もあるのです。

 一人制審判は「ドキドキ」することがありますが、そのときの状況判断で「解決」する以外ありません。


(2006年8月1日)


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