(8) 一人審判員の気分転換
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 最近やたらにセフティーバントをする人が増えてきました。とくにセカンド、一塁、投手の守備位置。「魔の三角地帯」へ打球をころがされますと、ほとんどがセーフになります。

 野球というものは面白いスポーツでこの「魔の三角地帯」へ一人でも守備につけば、セフティーバントは成功しません。一度10人守備でやってみてはいかがでしようか。

 ノーアウト、ランナーは2塁、3塁です。もちろん前進守備体制です。審判員の頭の中にはいろいろな場面が想定されます。

 一番スッキリするのはヒットを打って点が入ることです。ところがそうは行きません。四球で満塁になったりします。

 ノーアウト、満塁は点が入らないといいますが、実は不思議なことにこの場面では、普段の守備の実力以上のものが発揮されるのです。
 その答えは「集中力」です。もちろん審判員もこの場面では集中力を高めます。2アウトまで行きますと点はほとんど入りません。

 さてここからが問題の場面に遭遇します。セカンドフライが上がり、万事休すです。ところが「ポロリ」です。

 選手も緊張感が切れますが、審判員もこのような場合は緊張感と集中力は音を立てて崩れていきます。

 特にAクラス同士の試合でこのようなボンヘッドが行なわれますと、その後のジャッジに微妙な狂いが生じてきます。

 また、一人制審判の場合は、集中力を再度高めるのに苦労をします。実は複数審判員ですとお互いに選手に分からないように「ニヤニヤ」笑い、気分転換をいたします。

 一人制審判はこのような場合は、捕手にも気の毒で声をかけられないし、攻撃側にも「ラッキー」などとは口が裂けても言えません。気分転換ができないままジャッジをするようになります。

 このボンヘッドが早い回ならまだ2対0ですみますが、4回、5回まで進んだ試合でボンヘッドにより4対0になりますと白けた試合になってしまいます。

 実力が伯仲しているAクラス同士なのに終わってみれば6対1。

 負けたチームも勝ったチームも「あのボンヘッドがなかったら」と思うでしょう。

 一人審判は早くこの場を立ち去りたくなります。審判員のミスジャッジではありませんが、気持ちとしては何故か心が沈みます。
 それはAクラス同士の伯仲した試合を期待しての審判をやりたかったからです。

 皆様は「どちらが勝とうが審判員に関係ない」と思うでしょう。ところが違うのです。審判をやりながら時々ゲームに参加している気分になるのです。

 審判員の思う通りに試合が展開いたしますと、ますますジャッジに酔いしれてしまいます。とくに一人制審判はこの傾向が強く出ます。

「ジャッジに酔いしれる」、これも一人制審判の悪い癖でございます。この悪い癖が身体に染み付かないためには複数審判を行う必要があります。

 わたしは時々二人制審判を行なうチャンスがあります。この時に一人制審判の悪い癖を洗い流しております。
 そしてまた一人制審判に挑みます。


(2006年8月15日)


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