(11) 一人審判員の「おみやげ」
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 審判員からのアドバイスは時々「的」を射たことを言います。なにしろ後ろですべてを見ているからです。

 とくに投手の「間合い」などはすぐに見抜いてしまいます。セットポジションで投げる時には「間合い」が永くなったり、打たれますと短くなったりします。

 ベンチでも観察していると思いますが、これが意外と打つ時に気がつかず、投手にほんろうされています。

 先日も初球にストレートのど真ん中を5割の確率で投げてくる投手に、打者は悠然と見送り2ストライクと追い込まれ、変化球で三振、内野ゴロに処理されていました。早くベンチは配球を見抜きませんと負けの確立は高くなってきます。

 また、ストライクの入らない投手に捕手が「牽制してみろ」「クイックで投げろ」といろいろとアドバイスしていますが、ストライクの入らない投手には逆効果で、ますますコントロールがつかなくなり、四死球の連続となります。

 ベンチは捕手が何を言っているのかを冷静に観察する必要があります。強いチームの捕手は「勝負どころ」しか声をかけません。

 審判員のアドバイスは、野球の「メンタル」な面では非常に役に立つことがあります。もちろん試合中には聞けませんし、応えることは出来ません。

 試合の終わった後にこんな質問をうけました。
「審判さん、私のバッティングどこが悪いのですかねー」
 それに対して、私は技術なことは一切応えません。

「後ろで見ていて、打ってやろうという気迫が伝わってこない、なんとなく立っているようにみえますよ。高校時代やっていたのでしょう。ブランクがあればただの人になりますよ」

 そうなのです。軟式野球に「昔の名前」は通用しないのです。現役の野球から離れて1年もたてば、バッティングはほとんど通用しないのです。通用するのは守備だけなのです。

 時々、〇〇高校硬式野球部のOBで集めたチームの審判をやりますが、中にはマナーの悪いチームに出会う時があります。

 まず軟式野球を分かっていません。硬式をやっていたから打てるだろうという気分で「軽口、おしゃべり」をしながらやっています。
 こういうチームには一切「アドバイス」はしません。

 審判員は野球技術よりマナーを観察しています。

 マナーのいいチーム、選手には一言「おみやげ」をあげることにしています。まだ審判員に「おみやげ」を頂いていないチームは近い内に

「来シーズンから審判はお断りします」なんて事にならないようにお願いします。

 私どもの審判組織はインターネツトを通じて成り立っています。全審判員が「審判情報」「チーム情報」を共有しています。


 一人審判員は試合が終わったあとに「反省会」をする相棒がいません。複数審判とまったく違った環境で審判を行ないます。「一人反省会」は結構ストレスが溜まります。

 審判員は「反省」なくして進歩はありません。


(2006年10月1日)


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