(13) 一人審判と2人制審判
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 先日、某市軟式野球連盟の方と立ち話ですがこんな話をいたしました。

「一人審判は邪道ですね。我々は4人しかやりません。本当にしっかりやるのなら審判は6人必要ですよ」。

 それに対して私は「一人は無理な試合もありますが、私達はレベルの高い試合は二人制で時々やっていますよ」。

「二人制ですか。やりたいですね。なにしろ上が許してくれません」。
 二人制審判の談義をいたしました。

 最近の話ですが、4人制審判の要請を受けました。よーく話を聞いてみますと某区の4部に所属しており、某区軟式野球審判団の都合がつかなくなり審判要請がきました。

 4部クラスならば一人審判で対応します、と言いましたが、やはり「一人審判は不安」ということで二人制審判を行なうことになりました。

 我々一人制審判を永くやっておりますと、このクラスならば一人審判で充分だと思ったりしてしまいます。けれどチームにとって一人審判は「不安」なのです。
 また、反対に「一人審判」に慣れきってしまうチームもいます。

「一人制審判の死角」を書き始めてから、二人制審判の要請が少しずつ増えてきました。ネット大会の特別クラスとか1部トーナメントの試合です。

 我々も張り切って審判をいたしますが、実は二人制審判は一人制審判より難しい場合もあるのです。とくにある一定の訓練をしませんと「ただ一人増えただけ」でお互いが足を引っ張るようになってしまいます。

 二人制審判は勉強と実践をくり返し行ないませんと上手くいかないということです。一人制審判と違いまして「誤魔化し」が許されないのです。

「二人制審判の教本」の[ 序文]に山口氏がこのように書かれています。
 http://www.mbua.net/shinpantxt/data/s001.html

『しっかりした基本を身につけて、特に塁審は、球審の援助は一部受けますが、内野の各塁は一人舞台で、踊るように所定の場所に移動して、ジャッジすることができるのです。そのジャッジした後の、基本に忠実に動いた後の、なんともいえない達成感が体に充満するのです』

 これを一人制審判に置き換えますと。
「ジャッジした後の心残り、あれでよかったのかと思う不安感が試合の終わったあとに体に重く沈殿するのです」。

 ほとんどの審判員の方は4人制審判からいきなり一人制審判を行なう場合が多いです。また、二人制をきちんとやっている連盟や審判団体は多くありません。

 私も某審判協会を辞めてから10数年ほど一人制審判専門でやってきました。ここ数年、審判年仲間が増え、その中で「二人制審判」が審判の基本である事を再確認したのです。

 一人審判の無駄な10数年だと思いますが、私にとってはこの無駄を生かし、さらに「二人制審判」の課題に挑戦していきたいと思っています。

「一人制審判の死角」はこれからもまだまだ書き続けますが、内容があちこちへ飛ぶのも実は一人制審判の特徴なのです。何しろ一人制審判の「教科書」がないのです。

 一人審判の「教科書」は作るべきではないと私は思います。選手やベンチにはっきりと分かるようにおきな声でコールすることが最大の「教科書」だと思います。

 一人制審判が定着して20数年になると思われます。土曜、日曜の首都圏のグラウンドでは一人審判がおそらく500試合以上行なわれているのではないでしょうか。選手の攻撃側一人審判も含めますと想像がつきません。

 一人審判で気をつけなければならないことは「ケガ」です。何しろ代わりがいないのです。試合の進行には絶えず「緊張感」をチームにも維持させることです。

 むかし、ホームベースを拭く時に、危うく頭にバットが当たりそうになりました。一人審判は絶えず目配り、気配りをすることが大切です。試合を任されているのは自分一人である事の「自覚」を強く持って審判をすることです。


(2006年11月1日)


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