(25) ベースボールとは
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 一イニングに全くバットにボールが当たらないで、四球で6点が入った一人審判を行いました。単純計算で9人の打者に4球投げたとして36球投げています。ストライクもたまに入りましたので40球以上は投げています。

 バットにボールが当たらないで1回の表に6点が入ったのは、私の審判体験では新記録です。この回だけで13点が入りました。やっと投手の交代です。時計を見ましたら45分が経過していました。残り時間は75分しかありません。

 投手・捕手・打者・審判の四人だけで黙々と45分間を費やしていたのです。攻撃側ベンチは点が入るたびに歓声が上がっていましたが、8点目ぐらいから静かになりました。守備側からは「がんばって」「まだまだいけるぞ」の声援。

 野球は打ってゲームが成り立つスポーツです。もちろん勝つためには四球を選ぶのはいいでしょう。特にトーナメント戦が主体の野球は「一戦必勝」です。少年野球、高校野球などは負けたらそれまでです。

 ノースとラスク−3ボールからでは99パーセントの確立でバットを振りません。サインを間違えて打ってヒットになっても怒られるだけです。2ストライク−3ボールになってから初めてバットを出します。気持ちの上では消極的になっておりますのでヒットの確率は低くなります。

 投手は打たせまいという気持ちで投げます。3球三振は中々出来ません。審判がうしろで見ていて「このバッターは、この投手の球は打てない」と思っていても、なぜか3球目は高めに外したりしています。半端に外すものですからカーンと打たれたりする時もあります。

 最近、ネット大会などもリーグ戦が多くなりました。リーグ戦はブロックの中で一位ならば決勝トーナメントにいけます。それでも戦術は結果を求める野球をしています。

 野球の歴史はアメリカで打つことから始まりました。そしてレベルに合わせて楽しんできました。なぜか日本では勝つことから始まっています。バットを振らないでボールを見ることから教わっています。ストライクしか打たない。個人プレーはダメ。これは日本という国民性から来ていますので、ある程度は仕方がないことと思われます。これを変えるのには永い、永い時間がかかると思います。

 平林岳著・光文社「パ・リーグ審判、メジャーに挑戦す」の本文の中でこんなことが書かれていました。

【問題】「あなたは3塁を守っています。試合は序盤、スコアは1対1の同点。ノーアウトでランナーが1塁と3塁にいます。バッターがゴロを打ち、打球はあなたの前に飛んできました。3塁ランナーは本塁に走りました。バックホームは間に合いそうです。どこに送球しますか?」

【答え】本を買って読んでください。うーん。これがベースボールかと納得いたします。と同時にこんなベースボールをやりたくなります。

 この本は、野球ファンならば、どなたが読まれても、分りやすく、ていねいに書かれています。野球人の必読書です。


(2007年6月1日)


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