スポーツ博覧会
スポーツ・ライター 玉木正之


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 ■20 ラグビー人気はいずこへ?

 なでしこジャパンがW杯世界一に続き、ロンドン五輪出場も決め、なでしこフィーバーは止まらない。
 が、同時期に行われたラグビーW杯は、ほとんど注目されなかった。

 かつて日本のスポーツ界では、サッカー(アソシエーション・フットボール)よりもラグビー・フットボールのほうが人気が高かった。早明戦や早慶戦などの大学の試合は国立競技場が超満員。新日鉄釜石の7年連続優勝(1978〜84)に日本中が沸いた。
 そのころ日本のサッカーはニュースにもならず、多くの日本人はW杯の存在も知らなかった。が、93年Jリーグが誕生し、立場は逆転した。

 それは必然的なことともいえる。世界的にもラグビーはオックスフォードやケンブリッジの大学スポーツ(植民地支配に必要な体力を養うエリート競技)として発展。一般大衆には広がらず、オセアニア諸国や南アフリカで人気が出たのは、植民地宗主国を負かして現地人が留飲を下げたためだった。
 しかも身体を激しくぶつけ合うラグビーは、やはり体格的に優るほうが有利。それに比べてサッカーは、脚しか使えず、ルールも簡単。ボール1個で費用もかからないため、世界中の一般大衆に広がった。

 そして世界一の人気球技となったサッカーは、視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者のW杯も生まれ、今年11月にはパリで電動車いすサッカーの第2回W杯も開かれる。この第1回大会は4年前に日本で開かれ、日本代表は優勝を狙ったがアメリカ、フランス、ベルギーに敗れて惜しくも4位。今度こそ「なでしこに続いて優勝!」と意気込んでいる。
 ラグビーも2019年W杯日本開催をきっかけに、なんとか日本での人気復活を!

(スポーツライター・音楽評論家。国士舘大学体育学部大学院非常勤講師。著書多数)


(「損保のなかま」2011年11月1日付より)


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