スポーツ博覧会
スポーツ・ライター 玉木正之


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 ■29 「デジタル五輪」の到来

 ロンドン五輪の開幕が近づいた。今回の大会の大きな特徴は、なんといっても、デジタル・オリンピックだ。

 最近ロンドンを訪れる友人がいたので、だったら前回の本欄に書いた「オリンピック芸術祭のパンフレットを手に入れてきてよ」と頼んだ。が、友人の返事は、「そんなものは存在しない、と関係者に言われた」というのだ。
 「いったいどういうことか?」と思ったら、五輪芸術祭の予定その他の情報は、すべてインターネットのホームページからダウンロードでき、世界のどこからでも手に入れることができるのだ。
 万事がこの調子で、スポーツ競技の大会が始まれば、競技の結果、選手の記録、さらにインタビューなども、ネットにアップされ、国によってはネットテレビによる全競技の実況配信も見ることができるという。

 さらに今大会では、大会期間中の選手のホームページ更新が(前大会同様)許可されたうえ、選手のツイッターやフェイスブックを集めたホームページ「アスリート・ハブ」が、大会100日前からIOC(国際オリンピック委員会)によって開設された。そこには陸上のボルトや競泳のフェルプスなど、1000人近いスター選手が登場し、ボルトには世界中で1000万人近いフォロワーが生まれたという。

 このようにSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)を含むデジタル・メディアの進化で、今大会は「BBC(英国放送協会)で見る最後のオリンピック」との声もある。
 が、テレビは今大会で3D放送を実験し、巻き返し(生き残り?)を図る。
 1964年東京大会ではカラー中継と衛星放送が始まったが、五輪招致に東京が再立候補している2020年にメディアはどうなってる?

(スポーツライター・音楽評論家。国士舘大学体育学部大学院非常勤講師。著書多数)


(「損保のなかま」2012年8月1日付より)


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