スポーツ博覧会
スポーツ・ライター 玉木正之


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 ■30 TOTOは「ギャンブル」ではない!

 今年の7月7日、ロンドン五輪開幕目前のドサクサに…ではないだろうが、超党派の国会議員によるtoto(スポーツ振興くじ)の「制度改正検討プロジェクトチーム」の初会合が開かれた。
 そしてtotoの増収を図るため、プロ野球や大相撲、サッカーのイングランド・プレミアリーグ等にも対象を広げる方針を確認したという。そのニュースに、私は、ウ〜ンンン…とうなってしまった。

 19年のラグビーW杯や、20年招致を目指す東京五輪のメイン会場となる国立競技場の建て替えなど、さらなる日本スポーツ界の発展のため、少しでも多くの資金を確保したいのは理解できる。が、カネさえ集めればいい……ってわけではないはずだ。

 1998年5月、toto実施の法案審議で、私は賛成の立場から衆議院文教委員会に参考人として出席した。それはJリーグが、企業チームではなく独立したスポーツチームによるリーグとなることを願ったからだった。
 商品を買う側と売る側、宣伝する側など、利害関係の絡む親会社がチームを「所有」する企業スポーツの場合、純粋なtoto(スポーツ振興くじ)は成立しなくなる。

 幸いJリーグはtotoを行いうる独立したスポーツチームのリーグ戦として成長したが、プロ野球はどうか? 企業名を冠したチームの闘いは、企業同士の「利害」まで予想する「ギャンブル」は可能だが、スポーツ振興のための「くじ」とはいえない。
 同様に「人情相撲」の入り込む余地のある大相撲も疑問符が付く。また「スポーツ振興くじ」で日本のスポーツ以上に海外スポーツの人気を煽るのは本末転倒だろう。
 totoを考える人は「金集め」以上に「スポーツ振興」を考えて欲しいものだ。

(スポーツライター・音楽評論家。国士舘大学体育学部大学院非常勤講師。著書多数)


(「損保のなかま」2012年9月1日付より)


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