スポーツ博覧会
スポーツ・ライター 玉木正之


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 ■39 米野球界の拡大政策

 1934年に、ベーブ・ルースなどのスーパースターがそろった米大リーグ選抜チームが来日し、全日本チームと対戦。同年にこのときのチームを母体として、読売巨人軍の前身である大日本東京野球倶楽部が誕生した。
 来年は、その80周年で、記念事業として巨人vs阪神の開幕戦をロサンゼルスのドジャー・スタジアムなどで行う計画が進んでいるらしい。

 日本のプロ野球界には、米国で試合を行うメリットなど存在しない。観客が入るかどうかも心配で、大リーグの関係者からは、米国人観客の動員には期待できないから、在米日本人だけでなく、在米韓国、中国、台湾人の人気を得るために、今からでも巨人か阪神にそれらの国籍のスター選手の加入を働きかけたい、との声もあるという。

 大リーグの関係者が、そこまで熱心にプロ野球の米国開催に力を入れるのは、もちろん大きな理由がある。
 来年、ダルビッシュが所属するテキサス・レンジャーズの開幕戦が、東京ドームで行われるという。ならば日米の開幕戦が場所を入れ替えて行われることになるわけで、その結果、さまざまな問題点も新たに出てくるだろう。「観客動員は……?」「TV視聴率は……?」「選手のコンディション調整は……?」「その後のペナントレースに与える影響は……?」「さらに球団の興行収入は……?」――。 
 その他、いろいろな問題点が整理され、そして、それらは日本のプロ野球が「極東リーグ」として米大リーグに組み入れられたときの参考資料になるという……。

 はてさて、それが何年後のことなのかは判然としない。が、米野球界の拡大政策が日本のみならず、韓国、中国……などのマーケットも視野に入れ、進出しようとしていることは事実のようだ。

(スポーツライター・音楽評論家。国士舘大学体育学部大学院非常勤講師。著書多数)


(「損保のなかま」2013年7月1日付より)


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