■40 飛ぶボールと権力の二重構造
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「奇妙な話というほかない。今シーズンのプロ野球は昨シーズンよりも、よく「飛ぶボール」が使われていたというのだ。それも秘密裏に……。 そもそも今シーズンは昨シーズンよりも、ホームランが約1・5倍にも増えている。選手の多くも「今年のボールは飛ぶ」と言い、目の肥えたファンも「飛ぶ」と確信していた。反発係数の調査でも「飛ぶボール」への変更は明白。それを「選手(打者)の努力の結果と思っていた……」と記者会見で語った加藤コミッショナーの言葉も奇妙な話。 しかし、何が一番奇妙な話か……と言えば、記者会見の席で新聞記者たちが、コミッショナーやコミッショナー事務局長を、あまり鋭く追及しなかったことだろう。 (スポーツライター・音楽評論家。国士舘大学体育学部大学院非常勤講師。著書多数) |
(「損保のなかま」2013年8月1日付より)
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