スポーツ博覧会
スポーツ・ライター 玉木正之


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 ■45 国際オリンピック委員会の思惑

 9月のIOC(国際オリンピック委員会)総会で、新会長に選ばれたバッハ氏が11月19日に来日し、五輪の競技から外された野球とソフトボールに復活の可能性があることを示唆した。
 さらに実施競技は五輪が開催される7年前には決定しなければならないが、バッハ会長は、委員の合意によって変更は可能と明言した。

 また総競技数が「28」と定められている点についても、五輪の肥大化防止は参加選手の総数さえ抑えられれば問題はなく、「五輪は開催国の文化や社会を反映すべし」として、野球やソフトボールの復活に関し、12月に開かれるIOC理事会と14年2月の総会で議論をした上で「委員会か作業部会で検討する」と具体的な手順まで口にした。

 では、野球とソフトボールの五輪参加実現の可能性は?
 実はIOCは以前から野球とソフトの五輪参加を望んでいた。それはアメリカのメジャーや日本のプロ野球のスター選手たちが参加するとなると、放送権料のさらなる値上げが期待できるからだ。
 しかしメジャーは、ペナントレースが真っただ中の時期にスター選手を五輪に奪われることを断固拒否。日本のプロ野球界も、多くのファンの五輪野球待望論に配慮してコメントは差し控えているが、シーズン中に有力選手を日本代表チームに参加させるのは避けたいはず。

 IOCは、メジャーは無理でも日本の野球人気による放送権料に期待し、バッハ会長の発言となったのだろうが、日本球界はどう動く?

(スポーツライター・音楽評論家。国士舘大学体育学部大学院非常勤講師。著書多数)


(「損保のなかま」2014年1月1日付より)


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