スポーツ博覧会
スポーツ・ライター 玉木正之


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 ■48 森元首相のあきれる発言

 ソチ冬季五輪が幕を閉じた。日本選手団が長野冬季五輪の10個に次ぐ、8個のメダル(金1銀4銅3)を獲得したのは大健闘といえるだろう。
 そんな中、フィギュアスケート女子で6位に入賞した浅田真央選手の演技は、スポーツにはメダル以上に尊いものがある!(それは、どんな困難にも打ち勝とうと挑戦する気持ちである!)というメッセージを世界中の人々に送ったという意味で、本当に素晴らしいものだった。

 そんな実り多いソチ冬季五輪に引き続き、3月7日から16日にはソチ冬季パラリンピックが行われた。五輪に引き続き日本選手団の素晴らしい活躍を……と思った矢先に、まったくヒドイ出来事があった。
 それは森喜朗元首相の暴言だ。
 講演会で浅田真央選手について「大事なときに必ず転ぶ」と暴言を吐いたことをご存じの方も多いと思うが、2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長でもある元首相は、パラリンピックについても次のような暴言を口にしていたのだ。
 「組織委員会の会長は健常者の競技だけ行って障害者の方をおろそかにしてる、そういう風に言われるといけませんので、ソチへまた行けと(周りが)言うんですね。(中略)また20何時間以上も時間かけて行くのかと思うと、ほんとに暗いですね」

 76歳になる元首相は、パラリンピックを視察して日本人選手たちを応援しようと思うよりも、飛行機に乗る時間の長さにウンザリしているのだ。
 2020年の東京五輪のトップを、こんな人物に任せていて大丈夫なのだろうか?

(スポーツライター・音楽評論家。国士舘大学体育学部大学院非常勤講師。著書多数)


(「損保のなかま」2014年4月1日付より)


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