スポーツ博覧会
スポーツ・ライター 玉木正之


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 ■52 カネがないならアイディアを!

 東京都の舛添都知事が2020年オリンピック・パラリンピックの会場計画の見直しを発表した。
 建設費の高騰から、バスケットボールなどの試合が行われる体育館の建設を中止。既存施設を利用するという。

 ■負担が少なかったドイツ

 カネがないなら仕方ないが、他にもっといいアイデアがあるのではないか?
 例えば、06年のサッカーW杯ドイツ大会の場合、税金をほとんど使わないで10都市にある古いサッカー場の改築をやってのけた。
 責任を持って改築することを条件にして、ドイツのプロサッカリーグのクラブ(サッカーチーム)に老朽化した公営スタジアムを超安値で払い下げたのだ。
 各クラブは観戦用に新設したVIPルームを販売したり、駐車場収入や物品収入などを担保に銀行からカネを借りたりして経営を安定させると同時に、新しいスタジアムも手に入れた。

 ■日本のスポーツ界は不健全

 現在、世界のスポーツ界では、ハードウェア(スタジアム)とソフトウェア(スポーツクラブ)の運営は、一体化するのが常識。
 日本のスポーツ界のように、「クラブ(スポーツチーム)が公共団体やスタジアムの運営会社に使用料を払って試合会場を借りる」というのでは、いつまでたっても、クラブの運営は健全化しないし、素晴らしいスタジアムも建設できない。
 日本のプロスポーツは野球のようにチームの運営が親会社の利益(宣伝)に直結し、スポーツの発展につながらない場合もある。
 20年五輪をきっかけに、世界規準の健全なスポーツ界へと改革できないものだろうか?

(スポーツライター・音楽評論家。国士舘大学体育学部大学院非常勤講師。著書多数)


(「損保のなかま」2014年8月1日付より)


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