スポーツ博覧会
スポーツ・ライター 玉木正之


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 ■55 日本スポーツ界の発展をさまたげるもの

 2020年の東京オリンピック・パラリンピックを視野に入れ、近くスポーツ庁が開設される運びになりそうだ。
 いま開かれている臨時国会で法案が審議されており、遅くとも来年4月には、文部科学省の外局としてスタートする予定だという。
 そこで私は、スポーツ議員連盟の某代議士に、次のような意見をぶつけてみた。

 「日本のスポーツ界は、新聞やテレビなどのマスメディアがスポーツイベントを主催したり、スポーツチームを所有したりしていることによって、健全な発展が大いに妨げられている。そこで、スポーツ庁の開設をきっかけに、スポーツ庁の長官は、『マスメディアはスポーツジャーナリズムに徹し、スポーツの主催や所有をやめるのが望ましい』という声明を出すべきではないでしょうか」
 するとその代議士は、私の意見に大賛成してくれ、「スポーツ庁は、そのような理念を打ち出すべきでしょうね」と言った。
 ところが後日、某新聞社の記者からスポーツ庁に関する意見を求められ、同じことを言うと、反論された。
 「それではスポーツへの国の支配が強化され、それこそ日本のスポーツの健全な発展が望めなくなりますよ」

 私は、再反論した。
 「そんな事態を批判し、日本のスポーツを健全な方向へ導くのがジャーナリズムであり、マスメディアの使命でしょう。米国の第3代大統領トーマス・ジェファーソンは、『私は新聞が存在せず政府が存在する社会より、政府が存在せず新聞が存在する社会を選ぶ』と言いました。高校野球やプロ野球、箱根駅伝をまともに批判できないマスメディアの現状こそ、日本のスポーツ界の健全な発展を妨げてますよ」
 皆さんの意見は…

(スポーツライター・音楽評論家。国士舘大学体育学部大学院非常勤講師。著書多数)


(「損保のなかま」2014年11月1日付より)


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