スポーツ博覧会
スポーツ・ライター 玉木正之


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 ■66 国立競技場、エンブレム。森組織委員長は辞任すべし

 日本は、いつから、こんなに「情けない国」になってしまったのだろう?
 2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、新国立競技場そしてエンブレムと、2度も「国家的プロジェクト」に失敗したというのに、誰一人として責任をとろうとしない。こんなモラルハザードがあっていいものか?
 わずかに文科省の局長が辞任を強いられたが、そんな「トカゲの尻尾切り」で終わっていいはずがない。
 新国立競技場建設問題では、デザインの国際コンペ以来、設計や建設予算の算出に関与し、ザハ・ハディドや設計会社、大手ゼネコン等に60億円以上の税金を垂れ流したJSC(日本スポーツ振興センター)の河野一郎理事長の責任は免れない。が、任期満了で退任。JSCを管轄する文科省の下村文科大臣も内閣改造まで辞任はないという。
 河野理事長は自分は命令どおり動いただけ、と国会で答弁したが、それは(例が少々オーバーになるが)第2次大戦中に多くのユダヤ人をガス室に送り込んだアイヒマンの答弁と同じだ。
 オリパラ組織委員長で前ラグビー協会会長の森喜朗元首相の責任も重い。国立競技場は政府の仕事で組織は迷惑を被っただけ、という言葉は弁明にならない。
 3、4千億円かかっても立派な競技場を……と言っていたのは誰か? 
 おまけに森会長は、エンブレム問題で、佐野氏の改訂したデザインを「迫力がない」とやり直させ、「いいものができた」のに白紙撤回となったのだ。
 エンブレムのコンペを、審査員を無視して取り仕切った武藤敏郎事務総長とともに責任をとって辞任して当然だ。
 森会長以下、彼らが全員責任をとって辞任しなければ、2020年に向けて新たな出発が始まらないはずだ。

(スポーツライター・音楽評論家。国士舘大学体育学部大学院非常勤講師。著書多数)


(「損保のなかま」2015年11月1日付より)


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