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 ■3…家族の影響
   社会化の一環として巨人ファンに

 好きなプロ野球球団を持っている人が、その球団を好きになる上で最も強い影響を受けたのは誰(又は何)だろうか。調査全体では、?家族39%?テレビ27%?友人10%となっている。
 ところが、巨人ファンと他球団ファンの間には、はっきりした傾向差が見られる。巨人ファンは「家族から影響を受けた」人が59%にも上るが、他球団ファンはわずか26%なのである。そして「テレビの影響」と答えた人は他球団ファンの方に多く、巨人ファンの一・四倍もあった。「巨人

新ストッパー・河原純一投手
のゲームばかり放送するテレビの影響で巨人ファンが多く作られる」というのはどうやら俗説らしい。
 前号で、巨人ファンの重要な特徴の一つとして、他球団ファンよりずっと早く、幼児期・児童期には既に巨人ファンになっていることを明らかにした。そのことと、巨人ファンは家族の影響を極めて大きく受けて巨人ファンになっている、という二つの命題は、本論の核心的ポイントである。
 巨人ファンとテレビの関係は次のように説明できる。 巨人ファンの家庭では当然巨人戦にチャネルが合わされているが、子どもは、そのテレビを通じて巨人ファンになるのではなく、テレビ観戦している巨人ファンである家族に同化しようとして、巨人ファンになるのだと。つまり、子どもは身近な人への模倣活動として巨人ファンになるのであり、それは自身の社会化の一環なのである。
 いうまでもなく、子どもの人格形成にとって、家庭に於ける家族からのもろもろの働きかけ(教育〜それが意識的か無意識的かを問わず〜)が決定的な意味を持つ。幼児や児童は、もっとも信頼できる家族に自分を重ねることでいっそう家族の、とりわけ親子の絆を強めることができると本能的に感じている。
 重ねていえば、巨人ファンは巨人が好きで巨人ファンになるのではなく、巨人ファンである家族に同化するのである。だから、適当な文脈の中で後述することになるが、巨人ファンの家庭は、結束力が固そうである。
 一方、他球団ファンはファンになる年代が巨人ファンよりも遅い。つまり自己形成が相対的に進んだ時期である。だから、家族の影響より相対的にテレビの影響が大きくなる。情報やその影響の流れが巨人ファンのように、テレビ→家族→自己、という二次的プロセスを辿るのではなく、テレビ→自己、という直線型になるのである。

(「損保のなかま」2002年6月1日号より転載)


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