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巨人ファンの特徴は、幼児期から家族の影響を強く受け、社会化の一環として巨人ファンになっていること。また、パーソナリティの中核、価値観やイデオロギーに近い部分に取り込まれた強い確信的なものであって、比較対照や吟味の末に選ぶなどというプロセスを辿っていないこと。以上が前回までのまとめである。そこで、今回は巨人ファンと家族との関係を掘り下げてみることにしたい。
この数値から、母系の影響力が極めて強いことがわかる。なお、父母共に巨人ファンの場合には子どもは70%の高率で巨人ファンであり、中でも男性は75%とより高くなっている。 そして面白いことに、父母共に巨人ファンの家庭の場合、他球団ファンにまわる「反抗的」な子どもはわずか5%に止まり、残りの25%は「支持球団なし」という形で慎重に「アンチ巨人」を避けている。 ところが、他球団ファンの場合、様相は全く異なってくる。「父母共に巨人以外の〇〇球団ファン」のケースで、子どもが親と同じ〇〇球団のファンである確率は全体では36%に過ぎない。個別球団では中日、広島がやや高いが、データとして扱うにはサンプル数が少ない。 しかし、それにしても、調査では「父母共に阪神ファン」という家庭が二桁近くありながら、本人が阪神ファンというケースが皆無だったことには驚かされる。なにか説明可能な理由が存在するのだろうか。 さて、巨人ファンと家族の関係に戻ろう。調査を「巨人ファンである本人」から家族を見る数値に置き換えて分析すると、さらに興味深い事実が浮かび上がってくる。まず「家族の誰かが巨人ファンである」ケースは100%であるということ。すなわち巨人ファンの家庭には本人以外にも必ず誰か巨人ファンが存在しているということ。「父母共に巨人ファンでない」というケースはわずか11%であること、「母親が他球団ファン」であるケースは0%であること、などである。 ここでも巨人ファンと母親の強い関係が浮かび上がってくる。家庭における母親の存在こそは、巨人ファンを論ずる上でのキーなのである。 (「損保のなかま」2002年8月1日号より転載) |