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 ■9…パーソナリティ特性 (1)支持の固さ
   誰が何と言おうと巨人一筋に捧げる

 さて、今月から数回にわたって、巨人ファンのパーソナリティ特性について記述していこう。

 「調査」から浮かび上がってきた第一の特性は「支持の固さ」である。「調査」では、現在好きな球団がある人に対して、「過去に別の球団を好きだったことがありますか」と質問した。その結果は、

もう巨人・松井ではない…
 「ある」 27%
 「ない」 73% であった。
 これを巨人ファンと他球団ファンに分けて、「支持する球団を変えたことがありますか」という質問に対する「ない」という回答に変換してみると、
 巨人ファン  82%
 他球団ファン 55% 
となる。

 つまり、一旦巨人ファンになったら、その歩留まりは80%を超えるが、他球団ファンの場合、半数はその球団から離れていく。
 この巨人ファンの巨人愛?には盲目的と言えるほどの独特の質が見られるのである。
 また、「かつて好きな球団があったが今はない」と答えた回答者に限って「かつて好きだった球団名」を聞くと、
 巨人  31%
 他球団 69% である。
 「好きな球団がある人」の巨人対他球団の支持率は前述のように、ほぼ42対58だから、その数値を頭に入れて考えると、ここでも巨人ファンの「支持の固さ」は際立つことになる。つまり、なんらかの理由で、ある球団のファンを止める場合でも、巨人に三行半を突きつける人より、他球団に愛想をつかすファンの割合の方が高いということなのである。

 そして、「好きな球団を変えたことがある」人を調査すると、巨人からの撤退組は21%、新たに巨人ファンになった人は16%であった。巨人を巡る支持の出入りは極めて小幅であって、この数値も前記特性を裏書することになる。
 そのようなパーソナリティを有する人々から成る巨人ファンは、堅固な多数派を構成するが、ある意味では孤立した閉鎖的集団といえなくもない。他球団ファンとの交流が少なく、少なくともプロ野球に関しては多様な価値意識に遭遇したりディべートの機会に恵まれることが少ないのだ。

 この巨人ファン特有のパーソナリティの成立には、家庭環境が深く関係している。その分析は次号で行なうことにしよう。

(「損保のなかま」2002年12月1日号より転載)


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