巨人ファンに真の他球団嫌いはいない |
巨人 37% なし 46% そして、残り17%の人が阪神とか、ヤクルトなどと分散回答している。つまり、プロ野球ファンにとって「嫌いな球団」があるとすれば、それは主として巨人なのである。この数値は巨人を「好き」と応えた人の比率を10%も上回り、巨人以外の球団を「好き」と言う人の合計をも上回る。他球団ファンの70%が巨人を「嫌い」と答え、「支持なし球団」層の28%も「嫌い」と答える。巨人は嫌われた球団なのだ。 ところが、巨人ファンの方はというと、実におおらかな態度なのである。巨人ファンの39%は阪神、ヤクルト、広島、中日など、ライバル球団が嫌いと答えているが、残りの61%には「嫌いな球団」がない。とりわけ、女性の巨人ファンには他球団への敵愾心は少ない。「嫌いな球団」を持つ人はわずか26%だ。 「嫌いな球団」がある人に、嫌いになった時期を尋ねた。そこでも、巨人ファンとその他球団ファンとの間には際立った違いが見られる。巨人を嫌いという人の32%は「小学生の頃までに」自覚し、「中学・高校生の頃」が46%、「大学生以降」が22%である。しかし、嫌いな球団を持つ巨人ファンは、その42%が「大学生以降」と答えている。巨人ファンには筋金入りの「他球団嫌い」はいないのである。 前回までに、巨人ファンは幼少の頃に、すでに巨人ファンになっていることを指摘したが、それは他球団を嫌いになるという対象意識を持たない行動である。ところが、他球団ファンの場合、その球団を好きになる時期と巨人を嫌いになる時期が一致している。別の球団を好きになることは、巨人を嫌いになることとイコールであり、「嫌い」の度合いの強さにおいても巨人ファンのそれを凌ぐ。 こうして、巨人ファンの「おおらかさ」が明らかになる。他球団ファンからは嫌われながら自らは他球団への嫌悪の情を持たない。 巨人ファンは、他球団や巨人以外の選手については、あまり関心がない。誰がどう言おうと、ただひたすら巨人軍だけを愛しつづける。巨人ファンのこの感情は、巨人の「サポーター」というより、大好きなスターへの盲目的な思い入れに近いものだろう。 (「損保のなかま」2003年2月1日号より転載) |