巨人ファンは熱心な野球ファンだが… |
「調査」で「あなたの一番好きなスポーツは」と質問した。回答全体では (1)野球22% (2)サッカー20% となっていて、野球がかろうじてトップを守っているものの、サッカーも野球に比肩する人気を持っていた(ただし、調査対象者が大学生であることを忘れてはいけない)。
巨人ファンの好きなスポーツは (1)野球44% (2)サッカー18% であるのに対して、他球団ファンの好きなスポーツは (1)サッカー33% (2)野球30% と逆転するのである。 巨人ファンは巨人ファンであるだけでなく、実は最も熱心な野球ファンなのである。少しオーバーに言えば、プロ野球ファンとは巨人ファンを核とするファンのことである。 巨人ファンは圧倒的な巨人ファンで埋まっている家族環境の中で巨人ファンになり、その巨人軍は膨大な資金とナリフリかまわぬ選手獲得で常に優勝争いのなかにいる。巨人は期待にこたえてくれる存在、見返りのある球団なのである。巨人ファンの野球好きは、明らかに巨人軍の優勝回数や強さと相関関係にある。 それに対して、他球団ファンの態度にはどこか冷めたものが感じられる。もちろん、阪神や広島、中日といった地域球団には巨人ファンよりもっと熱い思いで肩入れする熱狂的な一部のファンがいることは事実である。それは、例えば、テレビ観戦の回数にも表れている。「調査」数値を省いて結論だけ言えば、巨人ファンよりも他球団ファンの方が、自分の支持する球団のゲームが放映される場合の観戦率が高いのである。 しかし、それでも、他球団ファンは、全体として野球がそれほど好きでなくなりつつある。白けているというべきかも知れない。それはそうだろう。優勝するのはいつも巨人軍なのだから。なかなか優勝のチャンスが巡ってこないチームを応援するのはずいぶん疲労も蓄積するというものだ。 このことは、巨人中心主義の球界に対する重大な警告でもある。プロ野球はいま危機に直面しつつある。いったい巨人ファンだけでプロ野球は成り立つのだろうか。「調査」に表れた数値には、はからずもそういった問いかけや深い意味がこめられているのではないだろうか。 (「損保のなかま」2003年3月1日号より転載) |