今シーズン、投手にとっては厄介なルールが導入された。試合時間の短縮を目指した『十五秒ルール』なるものだ。
無走者のときに投手は捕手などからボールを受け取ったら、十五秒以内に投球動作へ入らなければならないというわけ。 試合中、塁審が時計を計り十五秒経過すると審判が両手を上げて「ボール」を宣告するという。
これが評判よろしくないのだ。投手はサインに首を振る。捕手はサインを変える。また首を振る。また変えるで、決まる。
この動作がその通りのこともあれば、相手打者とベンチを騙すトリックのこともある。見ているものはどんどん想像力を膨らますことができる。これが駆け引きのあるプロ野球の醍醐味とも言えるが、こんなことをしていたら、あっと言う間に十五秒が過ぎ去る。
勿論、ダラダラと長引くより、キビキビとして緊張感のある時間の短い試合の方がいいに決まっている。
しかしどうだろう。試合時間を短くするのに塁審がストップウオッチを持って投手を監視するなんて、野球という競技を冒とくする行為、と怒る球界関係者は多い。
試合時間を短くしたいならストライクゾーンを広げ、積極的にストライクを取るとか、使用球を飛ばないボールに切り替えるとか…。
でもおかしいことに、過去のルール改正で「今年から(ストライクゾーンは)ルールブック通りに…」といって始めた大義が、シーズン終了まで定着した記憶はない。
まして十五秒を超えたからと両手を上げる勇気を、日本の審判たちがシーズン終了まで持ち続けられるか、はなはだ疑問だ。
一年やってみてダメなら見直すべきだろう。 |