スポーツに吹く風
スポーツジャーナリスト 泉 准也


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 ■5 広島カープ新球場の魅力

イラスト

 春先、ニューヨークでは二つの新しい球場がお披露目された。ヤンキースとメッツのスタジアムである。

 日本でも四月、広島にマツダスタジアムが誕生した。広島カープのホーム球場。 
 この球場は、大リーグの球場のいいとこ取りをし、日本の球場の価値観を覆すような素晴らしい球場だ。
 テレビの野球中継で既に紹介されているスタジアム風景だから、ご存知の方は多いかもしれない。内外野の天然芝は冬も青いままの洋芝が植えられ一年中、美しさが保たれている。左右非対称の外野も日本では斬新だ。
 何といっても、球場の外からもフィールドがのぞき見できる工夫がされ、散歩がてら試合の様子をうかがえる。左翼スタンドが吹き抜けになっており、大リーグのサンディエゴ・パドレスのホーム、ペトコ・パークと同じだ。
 斬新な仕掛けはあちこちにあって、これまでのオンボロ市民球場とはケタ違いに楽しめる。ファンの満足度が、予想をはるかに超えていると球団関係者は胸を張っている。
 観客動員数は、ここまでの主催試合と前年度を比較すると170%の大幅増。79年の年間動員最高記録、145万4千人は確実に大幅更新できると見込まれている。
 チームも交流戦では三位に食い込む成績を残した。「選手を動かす野球を目指す」とブラウン監督。「内野手五人シフト」で相手をはめこんで勝つパフォーマンスも披露するなどブラウン野球≠ヘ緻密で、奥深さがあって面白い。
 チームはCS(クライマックスシリーズ)への進出が今シーズンの目標。シーズン中途にフィリップス選手獲得など意欲的な補強を行ったが、オールスター前の大型連敗が痛い。
 後半巻き返して新球場とファンに応えてもらいたいものだ。


(「損保のなかま」2009年8月1日付より)


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