スポーツに吹く風
スポーツジャーナリスト 泉 准也


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 ■8 ラミちゃんはON以後最強四番打者

イラスト

 「ラミちゃん」「ラミちゃ〜ん」フェンス越しに飛んでくるファンの声援に、必ず振り返って手を振って応える。

 例年、春季キャンプの期間中にファンからパフォーマンスのアイデアを募集しているほどだ。ホームランを打てば、ベンチ前のテレビカメラに向かってラ・ミ・茶≠ネるポーズをきめる。
 巨人のリーグ優勝の立役者で四番打者アレックス・ラミレス外野手は、数々のパフォーマンスを編み出し、その立ち振る舞いは子ども達や多くの野球好きの人達を楽しませている。

 だが、ひと度バットを握ると、手が付けられないほどの暴れ方をする。夏場の中日との三連戦、初戦と二戦目に本塁打を含む四本ずつのヒット。中日のベテラン捕手、谷繁もお手上げ状態だった。

 来日九年目の今季、通算千五百安打を達成。長嶋茂雄(元巨人)、榎本喜八(元大毎)より一年早い、史上最速を記録。本塁打も九年連続で二十本以上をマーク。
 年間の安打数も、イチローの大リーグ九年連続二百安打に及ばないものの、一年目の百四十三本を除くと八年連続百五十安打以上の数字を残している。長嶋、張本勲、そして日本でのイチローもやれなかった凄い記録。〇七年には年間二百四本と、セ・リーグの最多安打記録を作った。打点も七年連続百打点。王貞治に並ぶ大記録も樹立した。

 ベネズエラ出身。二十六歳で来日した若者がONや張本、イチローらが引き合いに出されるような打者になるとは誰が予想できたろうか。
 海外FA権を取得しているが「日本が一番。大好きよ」と言うラミレス。ヤクルト時代から続くララララィ≠外野席のオレンジ軍団の前で踊る「ラミちゃん」のベースボール・ドリームは続く…。


(「損保のなかま」2009年11月1日付より)


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