作・臼井 淳一

  [ 8 ] けれどどこか 憎めない
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 ときどき日曜日の朝4時ごろ突然、電話のベルがなるのです。
「あぁ。臼井さん。メッツの大田です。6時からの審判お願いします。待っていますよ!」プッツン。

 いろいろなチームの人と知り合いになりましたが、こんな型破りな「人」は初めてです。けれどどこか「憎めない」ところがあるのです。

 先日も「大田さん。事前に電話ください。わたしは怒っている」。
「分かった、分かった。さっきから同じこと臼井さん4回もいっているよ」。
 うーん。4回もいったかな?3回までは覚えているが…。とわたしは納得してしまうのです。
 まぁ。メッツの大田さんとはこんな感じのお付き合いです。

 わたしはこういう「型破り」な人が大好きなのです。どちらかと申しますと、わたしも「型」にはまるのが大嫌いな人間です。

 さてさて、営業マンも「型」にはまって、マニーアルどおりにやっていたのでは「成果」は上がりません。
 いつの時代もそうですが、他の人が「やらないこと」「嫌がること」に挑戦することです。

 わたしは、自分の「営業訓練」のために、都内の葬儀社をかたっぱしから訪問しました。それも「楽しく」やるために、広告会社の女性(この人も訓練)といっしょに行ないました。
 丸二日の訪問で、この業界の「奥深さ」を知ることができました。
 まぁ。「葬儀」のことでしたらわたしに聞いてください。

 50才にしてこんな「挑戦」ができたのも、新しい職場に「新鮮さ」感じたのではないでしょうか。

 相撲界では「三年先の稽古」という言葉がありますが、営業マンも同じです。机上の勉強はゲームと同じです。人とあってお話をすることです。そして、目と耳と口と鼻で「人間を大好き」になることです。

 4年前に訪問したお客さんに「臼井さん。あの時はそっけなくお断りして悪かったわね…」といわれて、わたしは内容をまったく覚えてないのです。
 そのあとに「嬉しさ」がじわじわと湧いてくるのです。

「臼井さん。いまのはセーフでしょう…」
「朝4時の電話もセーフかい!」
「あぁ。6回もいっている…」

 かくしてわたしは、毎日曜日の朝4時の電話が待ち遠しくなるのです。

「惚れて 惚れていながら 行く俺に 旅をせかせる ベルの音」
                   …(三橋美智也・哀愁列車)
http://www5f.biglobe.ne.jp/~futakoz/versoj/v-sengokayou/aishuressha.htm

(2003年5月15日)


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