愛犬 ハッピー物語

(4)二代目ハッピーが亡くなりました

作 臼井 淳一




 わたしは6歳で今年1年生になったばかりです。名前は「めいな」といいます。
 4月17日の朝、お母さんに「ハッピーが亡くなったからこれからおばあちゃんと一緒に病院に行くから」と言われビックリしました。

ハッピー めいな

 ハッピーちゃんは15才でわたしより9才もお姉さんです。赤ん坊のころから一緒でした。しっぽをつかんでも、お腹をさわってもわたしにだけは怒らなかったそうです。

 お父さんが独身だったころに、ハッピーという同じ名前の犬が17才でなくなったお話をお父さんからききました。だから二代目のハッピーなのです。

 おばあちゃんはハッピーが大好きです。ちょっぴりやけますが、わたしたち姉妹より可愛がっていました。だけどわたしとお姉さんにも優しくしてくれます。

 おじいちゃんはわたしが来るといつもこんなことを言います。
「よく遠いのに毎日来るな。大変だろう」
「遠くないよ。すぐ隣だから」
「遠かったから来ないかい?」
「来るよ。だってハッピーが可愛いから」

 17日の夜にはみんなが集まりました。最後のハッピーとのお別れです。わたしはハッピーの顔をお姉さんと一緒にそっとなでてあげました。そのとき今にも起き上がって「ウー」といいそうでした。お父さんは黙って写真を何枚も撮っていました。

 あとでお父さんがこんなことを言っていました。
「あれからおばあちゃんは、ハッピーを抱いてして夜の散歩にいったのだよ」

 このお話を聞いておばあちゃんがかわいそうで仕方がありませんでした。

 これもお父さんに聞いたお話ですが、ハッピーは江戸川区の方からおばあちゃんと、伯母さん(お姉さんと呼ばされています)が、まだ生まれて1カ月のころ、おかあさんと別れて来たそうです。おとうさんは大会でチャンピオンになったそうです。

 そうそうハッピーは車が大好きで、おばあちゃんと、おじいちゃんが車でどこかに行くたびに乗っていました。おじいちゃんが「ブーブーでいこうか」と言うとおじいちゃんの足元から離れませんでした。そのかわり約束を破るとお部屋におしっこをするのです。

 次の日ハッピーは犬猫霊園火葬場に行きました。前のハッピーと同じところです。前のハッピーはお骨を持って来なくて、おじいちゃんはわたしのお父さんにこんなことを言われたそうです。
「骨は持ってこなかったの、永年一緒にいたのに。お父さんは冷たいよ」

 ハッピーは小さな骨壷に入って戻って来ました。
 ハッピーがいなくなりわたしはとても寂しいです。けれど学校でもお友だちができて元気になりました。

「ハッピー さようなら…」


ハッピー


(2012年5月1日)



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