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[15]楽しい、楽しい「映画出演」

 映画出演の依頼が来ました。なんと、なんと「野球・審判員」としての出演です。

 10年ほど前にテレビコマシャルの撮影で、これも「野球・審判員」でした。
 内容はバッターが反町隆史とかという若手俳優、キャッチャーは元阪神・川藤氏、球審がわたしです。
 携帯電話の「ワンカット」の撮影でした。この「カット」を撮るのに一日かかったことを覚えています。

 自分の姿がテレビコマシャルに流れると思い、貴重な休暇を使っての出演でしたが、関西方面のテレビだけと聞いてガックリしました。
 あとで娘に「反町隆史のサインもらってこなかったの!」と怒られました。


 今回の映画出演は、セリフがあるのです。それは「ストライク」「ボール」「ストライク・スリー」の三言です。おそらく数秒の場面だと思います。

 テスト〜本番。そしてOKがでるまで何回も繰り返すのです。とくに「本番」は大変です。野外の撮影なので飛行機音とか、カラスの「カーァ」で撮り直しになります。おまけに俳優さん・投手のストライクがなかなか入らないのです。

 同じ事を繰り返し3時間もやっていますと、「あれぇー。もしかしたらこの映画はわたしが主演」という錯覚に陥ってしまいます。

 なにしろグラウンドに響く大声で「ストライク」「ボール」「ストライク・スリー」と何10回もやっていますと、わたしが一番目立ってしまうのです。

 わたしもずうずうしく「カチンコの音が聞こえません」なんて怒鳴ったりして。すっかり俳優気分になりました。

 また、俳優さんと野球談義をする中で、「俳優で知っているのは渥美清だけです」なんて言って大笑い、エキストラの選手とも仲良くなりました。

 音響責任者の方に聞いたのですが、映画はテレビの倍のスタッフが必要。今回は少ない方だそうです。それでもスタッフは40人以上いました。

 そうそう「ロケ弁」ですが、これが美味しかったです。おそらく人件費を削りために、そのぶん「ロケ弁当」は豪華にするのでしょう。

 この映画は来年の春に公開されます。題名は「ないしょ」です。なにしろわたしが出演しているのです。
「題名を発表したらお蔵入りする可能性がある」と、監督からきつく言われませんでした。

 午後から少し時間がありましたので「スタッフ」を観察しました。この世界は結構厳しいです。若い人はぐずぐずしていると怒鳴られます。それでも「ヘイ、ヘイ」と飛んでいきます。

 一つのことに全員が集中してやりとげる姿。そして「映画」作りにかける若者の活き活きした姿を垣間見ました。

 ロケが終わり、わたしは映画監督より偉くなった気分で、俳優・スタッフの皆様に「お疲れれさまー」と大声で挨拶をして、イエローの軽自動車で家路に向かいました。

楽しい、楽しい「映画出演」でした。

(2005年5月1日)


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