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10月1日、お袋橋へ朝7時に少し前に着くように修平は向かいました。 20代のころ山登りで、新宿発23時55分発・鈍行・松本行きに乗るために、女房と何度も12番ホームで待ち合わせをしたことを想い出しました。12番ホームは山仕度の若い男女で週末は混雑していました。 お袋橋で八木下文子さんと「お早うございます」と挨拶を交わしますと、昔の想い出は頭から見事に飛んでいきました。 彼女の服装は薄茶色のリラックスパンツ、薄茶色の長袖シャツ、薄茶色のスニーカーと薄茶色に統一されていました。 修平は白いスニーカー、黒いズボン、紫色の長袖シャツ、それに茶色の野球帽子とまるで服装のセンスはありません。 女房が生きていたころは、同じネクタイや同じ靴を毎日繰り返すと、よく叱られました。服装はすべて女房任せでした。 「それでは下流へ向けて出発しましょう。途中トイレがありましたら休憩です。何しろ歳と共にトイレが近くなりましたね…」 「ハイハイ。それはお互い様ですわ。よろしくお願いします」 似たような年齢が一緒にいた場合、夫婦か他人かを見分ける方法はいろいろあります。 先日も映画の帰りにレストランで、修平の斜前に修平と同じ年頃の男女が座りました。何気なく様子を見ていますと、二人ともニコニコしてこんな会話をしていました。 「八王子1中の同級生のふーちゃんが亡くなって、昨日お通夜に行って来たよ…」 この会話でお二人は夫婦でないことが分かります。夫婦はレストランなどでニコニコいたしません。これ以上の詮索は止めようと思ったが、さらに聞き耳を立てていますと。 「今度、かんぽの宿 青梅に一泊でいかない…」 推測するにはお二人とも、夫・妻に先だたれた気楽な独身です。八王子1中の同級生でしょう。ビールを飲みながら盛んにふーさんという人を酒の肴にしていました。 「あいつはバカだねー、嫁ももらわず、退職金で家を買ってね。2年で死んでしまった…」 10月1日 晴れ とても素敵な日 コメント さてさて八王子1中の同級生のように、かんぽの宿まで行くようになるのか。これも嘘つきの著者次第です。 (2010年10月1日) ★読者の声 これから「純文学」ならぬ「淳文学」を楽しみにします。 次回が楽しみです。(Tさん) ★お答え |
(2010年9月15日) |