小説さ 小説さ
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(10) 最終回
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 朝パソコンを開きますといろいろなメールが修平には届きます。そのほとんどが「迷惑メール」です。中には件名が「至急返信」などというものもあります。開いてみますと「50万円すぐ貸します」サラ金からのメールです。

「八木下です」という件名を開いてみますと。
「今日、お話があります。場所はいつものガストです。ご都合のいい時間を知らせてください。メールお待ちしております。」

 1時に八木下さんと会う約束のメールをすぐに送信しました。送信したあと「お話があります」って何だろうと思いましたが、次の散策予定でも話し合うのかなぁ。と修平は思いました。

 ガストには1時前に着きました。八木下さんはすでに窓際の席にいましたがなんとなく元気がない感じに見えました。

「こんにちは。メール見ました。次回の散策の場所の相談ですか?」
「いえ違うのです。急に来年1月に九州は長崎の佐世保に行くことになりました…」

 修平は驚いてしまいました。次の言葉が中々でてきません。それを察知してか八木下さんは

「息子の転勤なのです。1カ月前に内示があったのですが、どうしても断れず…。5年ぐらいで戻れると思うのですが…、嫁がお母さんと一緒でないと新しい土地では馴染めないし、寂しいというのです。息子も同じ意見なのです」

「私もいろいろ迷いましたがついていく事にしました。幸い家は近所の弟夫婦が5年間なら管理してくれるというのです」

「5年ですか…。私も九州の佐世保には遊びに行ったことがありますが、とてもいいところですよ。5年ですか…寂しくなりますね…」

「そうですよ5年です。あっという間ですよ…。そうそう年に一度ぐらい中間点の京都で逢いましょうよ…」

「年に一度ですか…。寂しくなりますね…」

「巴さん、ネットもメールもあるでしょう。毎日メールをさしあげますわ…。メールで思い切ったことを言わせてもらいますわ…」

 修平は自分の生きるスタンスを5年単位で考えていました。現在65歳だからあと5年は生きられる自信があります。そう思いますとなんとなく「目標」みたいなものが見えてきました。そして人生に張り合いが湧いてきました。

「そうです。そうです。5年はあっという間ですよね。それに1年に一度は逢えるのですから…。そうだ。逢うのは7月7日にしましょう」

「あらあら。七夕のおり姫星とひこ星ですね」
 二人とも思わず笑ってしまいました。

「小説さ」を書いておりまして現実にこんな出来事があるのかいろいろ調べてみました。なんと知人が「ダンスサークル」を通じて同じような体験をしていることが分りました。

 ただ残念なことに知人はそれにより、奥様と家庭不和になってしまいました。そういう著者も願望としてはありますが、家庭不和を招くようなことはしたくありません。

 これからの人生は80歳〜100歳は生きる可能性があります。人生は男女の問題だけではありません。けれども修平と文子のような関係は認めてあげたいものです。


12月15日 雨 雨雨降れ降れ もっと降れ私のいい人連れて来い

 来年の1月に九州は長崎に家庭の事情で引っ越すことになりました。
 せっかく親しくなりましたTさんともお別れです。
 けれどTさんと嬉しい約束をしました。それは内緒です。
 九州でもブログは書き続けます。皆様のコメントをお待ち申し上げます。

山元富士子・ブログより


12月15日 雨 冬の雨はまだ止まぬ 飲ませてくださいもう少し

 朝からの雨はまだ止みません。
 今日U子さんと逢い、九州に行かれることを知りました。
 残念・無念です。もう一度 残念・無念です。

 男は幾つになっても、なんでこんなに女々(めめ)しいのか。
 しばらくブログの書き込みは止めて
 本田美奈子の「氷雨」を聴き続けます

 http://www.youtube.com/watch?v=CiO_BphfyZc

石原友二郎・ブログより


(終わり)



「小説さ」を3回ぐらいまで書いて「失敗した。書くのではなかった」と思いました。そうは言いましても結末はつけねばなりません。

 相変わらず何をしようとしているのか分らない政治不信。そこからから生み出される不景気の時代に「小説さ」などを書いている場合ではないです。

 やはり「思うがまま…」一刀両断に世相を斬って、斬って斬りまくらねばなりません。
 2011年は「思うがまま…U」を復活させます。
 永い間「小説さ」のご愛読ありがとうございました。


(2010年12月15日)


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