思うがまま…

臼井淳一
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(6)もてる男・もてる女

 会社を定年退職して5年になりますが、会社のOB会の旅行だけは必ず出るようにしています。9月に長野県・佐久市に行って来ました。

 5年も続けて出ていますと「面白い現象」に出会います。実はこれが楽しみに出ているようなものです。

 今年は80歳を過ぎたYさんと初めてお会いしました。なぜ今まで「旅行会」にこられなかったといいますと、老人ホームにご夫婦でいまして、奥様の看病とご本人の体調不良が最大の原因と聞いていました。

 最近、奥様が亡くなられました。男は普通ここでガックリ来まして、ますます体調を崩してあとを追うように亡くなられるのです。

 ところがYさんはますます「元気」になって行きました。原因はどこにあると思いますか。それは老人ホームにいたからです。自宅では元気になれないのです。

 老人ホームは一つの「社会」なのです。この「社会」には圧倒的に「独身女性」が多いのです。もうお分かりですね。Yさんは寂しくないのです。周りの多くの女性が励ましてくれるのです。

 なにしろ圧倒的に男性が少ないのです。近くいる「独身男性」に声をかけるのも女性の自然な行動ではないでしょうか。

 人間おいくつになられても、女性から声をかけられますと自然に元気が出てきます。とくに男性はその傾向が強いと思います。雄が雄として再び認められますと、生き生きとしてくるのではないでしょうか。

 宴会の席でYさんがカラオケのマイクを独占している姿を拝見しまして、元気の源(みなもと)を再発見いたしました。

 Yさんは波乱万丈の人生を歩まれてきました。会社を辞められてからも「人間関係」をますます発展してきた人です。ですから80歳を過ぎても男性・女性を問わず「もてる」のです。

「もてる男」「もてる女」は年齢に関係ないのではないでしょうか。それでも最低の条件はあると思います。

 特に男は歳をとりますと、何事も面倒になります。特に身だしなみはひどくなります。わたしなどは野球の審判を行うときに、時にはひげもそらず見苦しい顔で平気で人前に立ちます。

 いくら男ばかりのスポーツとはいえ、中には応援の若い女性もいますし、マネージャーには女性の方もおります。その方に不快な感じを与えるのは良くないと思います。

 グランドに行きますといろいろな方とお会いします。会話と身だしなみにも注意しています。スーツとネクタイから開放されて5年も経ちますと、人前での「緊張感」がなくなります。これがよくないのです。

 それでもグランド管理人の方には「ありがとうございます」「よろしくお願いします」をなるべく忘れないようにしています。

 それにもう一つ、必ず若い女性に声をかけます。先日もこんな会話をグランドでしました。

「いい匂いがしますね。グランドの隣の芝生でバーベキューをやっているのです。皆さんも早く結婚してバーベキューを子どもさんとやりたいでしょう」

「結婚したくないー。バーベキュー食べたいわー」

 たわいのない会話ですが、おじさんにとっては若い人との会話が何よりも元気になります。

 さて、来年の会社のOB会の旅行では、YさんのY談が聴けるかも知れません。


(2008年10月15日)



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