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世界の16カ国が参加した第2回ワールドベースボールクラシック(WBC)は、日韓戦の盛り上がりで連日テレビに釘付けになりました。そして準決勝でアメリカに勝ち、決勝では韓国に勝ち2連覇を果たしました。 第1回大会からWBCの運営はアメリカ・大リーグ主導で行なわれました。その内容は「アメリカによるアメリカのための、さらにアメリカが勝つ大会」と言い続けられてきました。 今回も第二ランドから試合会場をアメリカに移して、なぜかどのカードも試合会場は空席が目立ち、アメリカの試合すらもでもガラガラな状態でした。 またアメリカのメディアも日韓戦で優勝してやっと大きく取り上げましたが、前半あまり大きく取り上げなかったそうです。なぜなのかいろいろな疑問が湧いてきました。 アメリカの国民は、野球は「メジャー」。世界一を決定するのは「ワールドシリーズ」と思い込んでいるのは良く分かります。WBCなどにはあまり興味がないことも分かりました。 それではなぜWBCはアメリカ・大リーグ主導で行われているのか。いろいろな角度から検証してみたいと思います。 一つにはアメリカの「野球戦略」だと思います。ご存知のようにここ数年の間に日本選手が大量にメジャーに移籍をして活躍しております。そのおかげで日本人の・観光客・観客も大幅に増えております。 それに伴いメジャーリーグ(MLB)の放映も日本で多く見られるようになりました。 日本でのメジャーリーグ(MLB)の放映権は、電通が2004年から6年間(2009年まで)総額2億7500万ドルで契約しました。 当時のレートで約300億円弱。ということは1年間に約50億円。これは電通が買った値段なので、電通が放送局へ放映権を売る場合、マージンが発生するわけだから実際に売られる額は年間50億円以上となるわけです。 それとWBCとどのような関係があるのでしょうか。 仮にインドネシア、中国がメジャーリーグに興味を持つようになりますと、この国の人口を考えますと莫大な放映権を将来得ることが出来るのです。 メジャーリーグ(MLB)は、野球をビジネスと割り切って、WBCもそのために利用するのではないでしょうか。 普段のメジャーリーグの試合でも、日本のように満員に観客は入りません。観客が入らなくても「放映権」で選手に高い給料を払い、その他の機構運営にも全く支障がきたさないのです。 アメリカの野球戦略はアメリカ人がメジャーリーグで活躍しなくても、メジャーリーグで他国の選手が活躍すればいいのです。 メジャーリーグ繁栄のために、WBCをメジャーリーグ(MLB)は利用しているだけではないでしょうか。 反面、自由な国アメリカだからこのような割り切ったビジネスをしようと思っているのではないでしょうか。もしかしましたらこれは間違った見方かも知れません。 もう一つ将来、アメリカの野球戦略に日本プロ野球が負けますと、「負け組み」を徹底的に叩くのもアメリカの戦略であることも肝に銘じておきたいです。 そんなことを考えながら「日韓戦」を見ていますと、アメリカの野球戦略に乗せられて興奮するのもこれまた面白いのではないでしょうか。 日本が優勝しましたので、頑固にメジャーリーグだけが大好きなアメリカ国民にもエールを送ります。ついでに「ワールドシリーズ」を「アメリカンシリーズ」に名称を変えてください。
アメリカ万歳(WBC第1回大会) 臼井淳一=文 |
(2009年4月1日) |