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『それじゃ、夫婦仲よくないだろうな』 ご存知、松本清張著「張込み」の刑事と宿の女将の会話です。「張込み」は30分ぐらいで読める短編です。映画・テレビでハラハラしながら観た方も多いと思います。
最近、松本清張の本を再読しています。何度読みましてもぐんぐん引き込まれていきます。 56年前と違う点をあげれば、携帯電話、パソコン、新幹線がなかったぐらいです。それに高速道路ですか。 たった50数年前ですが、人間が悪いことやることはそんなに変わっていません。変わったことは物凄いスピードで世の中が動いているだけです。 新幹線・飛行機がなければ不便だと思うことなのです。わたし達は「便利という妖怪」に振り回されているのかもしれません。 もし、松本清張が生きていましたら「便利という妖怪」に真っ向立ち向かった小説を書くと思います。 「便利という妖怪」の典型的な妖怪物は「原子力発電所」です。1機を造るのに電力会社そして政界から財界が怪しい動きをして、市町村までその渦に巻き込んでいきます。 ある日××市の市長に突然電話がかかってきました。 こうして××市の原子力発電所造りが始まろうとするのです。(平成23年3月11日・松本清張著・「便利という妖怪」から) 先月、街のクリニックで大腸の検査を3年ぶりにおこないました。結果は小さな腫瘍が発見されました。その場で摘出してもいいのですが、安全を期して設備のある病院に3日ほど入院することになりました。 そこでまずクリニックの医師に聞いたことは というわけで10月の下旬にたった3日間ですが入院して、松本清張を読みふけります。 もちろん、ノートパソコンと携帯は持ち込みます。病院では禁止されていますのでトイレの中で皆様に「臭いメール」を送ります。 それにしましても、わたしも含めまして、今の時代は「便利という妖怪」に死ぬまで振り回されるかも知れませんね。 新幹線がなかった昭和33年ごろ日本はのんびりして、冷静に考える時間がたくさんありました。戻ることはできませんが、今でも立ち止まり、振り返ることはできます。 「便利という妖怪」に立ち向かって生きて生きたいですね。 |
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