思うがまま…II

臼井淳一
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(26)馬には乗って見よ 人には添うてみよ

 先日ラジオで近所の乗馬クラブが紹介されていました。その中で「体験乗馬」があることを知り早速見学に行きました。


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 今までの人生の中で「人により添うて」迷惑ばかりかけてきたので、ここは一大決心して「馬に蹴られて死んで」もいいから「体験乗馬」することにしました。

 人に迷惑をかけたことと「体験乗馬」とは関係ないように思いますが、わたしが颯爽と馬にまたがっている姿を見て、迷惑をかけた人は許してくれるのではないかと勝手に思うのです。

 乗馬などというものは金持ちがやるものだと信じていましたが、老い先短いわたしにも「冥土の土産に」手が届くことが判りました。但し年齢制限があり、70歳以上は家族の「承諾」が必要です。わたしはラクラクセーフでした。

 見学して分ったことは生徒がほとんど女性でありました。70歳近い爺様はおりませんでした。それなら「馬に蹴られて死んで」も本望だと単純に決心しました。「体験乗馬」するのに大げさだと思うでしょうが、心のすみには草原を自分の足ではなく馬と一緒に走って見たいという野望もあるのです。

 というわけで5月28日に「体験乗馬」をしてきました。

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 まず馬にまたがって感じたことは、乗る直前まで心臓がパクパクしていたのが、乗馬した途端にピタリと止まり「うーん。世界は広い」と思うようになりました。

 インストラクターの言うとおり、馬上で馬を進めたり、止まらせたり、馬の背で立ったりしました。人馬一体という意味が早くも理解しました。

 馬の腹を両足で蹴ると走ります。手綱を引くと止まります。そのたびに馬の首をポンポンと叩いて褒めてあげます。

 馬のリズムに合わせて乗るのは本当に難しいです。車でしたらハンドルとアクセルを調整すれば自由自在ですが、相手は馬です。馬が乗っている人間を「今日のお客は優しく乗っているなぁー」と感じさせなければなりません。

 30分の乗馬でしたが、終わりのころはのどがカラカラになりました。下馬したとたんに汗がどっと出ました。同じ運動でも相手が生き物だと疲労か違います。

 両足の普段使ってない内側の筋肉が疲れました。このハードな運動についていけたのは、やはりウォーキングのおかげだとつくづく思いました。今夜あたりは「知恵熱」が出るかもしれません。

 インストラクターのお世辞かもしれませんが、わたしは歳のわりには「筋」がいいらしいです。人間も含めて生き物に対してやっと「自然体」で接することが出来るようになったからだと思います。

 ちなみにわたしの乗った馬の名前は「大和号」と厩舎に書いてありました。今度逢いましたら「先日はありがとう」と声をかけてあげます。

 残された人生は多く見積もってもあと10年でしょう。ここは思い切って本格的に乗馬を始めようと思います。

 さらに、さらに本当の意味で「人には添うてみよ 馬には乗って見よ」の言葉の意味を深めていきます。

 落馬して「杖に寄り添う怪我」をしないように楽しく乗馬してみたいと思います。

 やはり止めておきますか 思案中です。


(2012年6月1日)



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