思うがまま…II

臼井淳一
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(33)巨人 大鵬 卵焼きと野球の裾野

  大横綱・大鵬が亡くなられて「巨人・大鵬・卵焼き」という流行語がクローズアップされています。1960年代〜1970年代にかけて、こどもも大人も好きな言葉になりました。東京オリンピックから高度成長時代にかけての日本を代表する「流行語」です。

 この時代、野球が国民的人気スポーツで「1」でありました。あれから50数年経った現在、野球はサッカーと入れ替わりました。10数年前までは「スポーツ新聞の1面」は年間を通じて「野球面」でした。今はサッカーその他のスポーツが1面に割り込んでいます。

 わたしが野球人気に疑問を感じたのは、草野球の審判をやり始めた1980年ごろです。

そのころ審判の合間に「少年野球」の指導を見ていますと、監督・コーチの「バカヤロー」「やめちまえ」「何回言ったら分かるのだ。バカヤロー」。と小学校2年、3年生に言うのです。さらに4年、5年、6年になりますと「ケツバット」と称して失敗した選手に尻をバットで叩いているのです。

 わたしの女房は、息子がリトルシニアの時に監督に足で尻を思い切り蹴られたことを今でも「あれはひどい」と言っています。
 お断りしておきますが全ての少年野球の指導者ではありません。


詩
少年野球のコーチをやっていたころ3年生の「お別れ会」で
書いた詩を全員に渡しました。


 まだこのころサッカーは盛んではありませんでした。それでも少ない人数ですが、若い指導員がこどもたちに教えるというよりは、一緒になって遊んでいる雰囲気で指導していました。言葉づかいの丁寧なのにはびっくりしました。

 この2つの「指導者」を見ていまして、いまに野球はサッカーに抜かれると思いました。

 スポーツが好きな親御さんは、学校が休みの日に自分のこどもを安心して面倒をみてくれればいいのです。将来プロになって欲しいと思う親御さんは小学校生ではおりません。親御さんとしては、こどもの心を傷つけるスポーツ「野球」よりサッカーを選ぶのは当然であります。

 この半世紀、相撲をするこどもたちが激減してしまいました。その結果力士も外国人に頼っているのが相撲界の現状です。日本の国技なので消滅することはありませんが、プロ・スポーツとして将来成り立っていくのか心配です。

 プロ・スポーツとしての観客動員数は現状ではまだ野球が1位です。続いてサッカーとなります。

 問題は「裾野」の人口がサッカーに追いつかれていることです。この20年間、草野球のグランドがサッカー場に替ええられています。特に河川敷の野球場はサッカー場に替えられています。また、同じグランドで野球とサッカーが共有できる人工芝施設も増えています。

 このように野球の裾野であるこども達がサッカーにどんどん取られています。とくにサッカーの場合は女子も含まれますので裾野はどんどん広がっていくでしょう。サッカー人口は国際的にも野球の比ではありません。

 アメリカは相変わらず「ワールドシリーズ」が「おらが世界一の野球」と自慢しています。WBCなどはアメリカ野球の「ビジネス」としか位置づけていません。その証拠に肝心のアメリカ国民が関心を示さないのです。もっともこの国は広すぎて「おらが州」の野球しか興味がない典型的な「島国根性」の国民性を持つ国だと思います。野球の発展のためにはもう期待できません。

「巨人・大鵬・卵焼き」の時代から半世紀を過ぎようとしています。わたし達の大好きな野球はどのようになっていくのでしょうか。

 長嶋茂雄が言いました「巨人軍は永久に不滅です」いい言葉です。今、声を大して言わなければならないことは、日本の野球は素晴らしいスポーツです。そのために裾野を広げる努力をアマ・プロ関係なくする必要があります。

 おっと肝心なことを忘れていました。こどもの人口を多くしませんといけません。それには若い人が安心して子育てができる環境を作らなければなりません。その前に結婚できる条件です。共働きでも構いません。けれど二人がパートや派遣社員では結婚に中々踏み切れません。

 政治家の皆様が正社員を増やす政策の方向転換をしませんと、結婚も子育てもできません。日本の未来を考えて若い人たちが安心して生活できるようにしてください。


(2013年2月1日)



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